白酒のキモチ。落語会 桃月庵白酒「死神」

「白酒のキモチ。落語会~喬太郎師編」に行きました。桃月庵白酒師匠が「綿医者」と「死神」、柳家喬太郎師匠が「路地裏の伝説」だった。

白酒師匠の「綿医者」は今回の落語会のために喬太郎師匠から習ったネタ。元々、喬太郎師匠が増補落語事典の粗筋から掘り起こした噺だが、白酒師匠が自分のカラーに染めて、とても面白かった。「新版三十石」「喧嘩長屋」「茗荷宿」「長屋の算術」などに続き、寄席などで重宝するネタが増えたのではないか。

白酒師匠の「死神」は久々に聴いたが、相変わらず滑稽味満載で愉しかった。死神のキャラクターが明るくて、ポジティブで、「人間、諦めちゃいけない。頑張って生きよう!」と励ますのが可笑しい。見た目もぶくぶく太っていて、血色が良いという…他の演者が演じる死神とは正反対なのが良い。

死神というのは、人の命を奪ったりしない、ましてや殺し屋なんかじゃない、ただ「天寿を全うしようとする人間をあの世に送る手助けをする」だけだ、と。その言い分は確かに尤もだ。

男に医者になれと勧め、死神を退散させる呪文を教えるところ。「三つの約束がある」と言って、一つは誰にも教えないこと、二つは枕元の死神には手を出さないこと…ときて、「三つ目は?」と訊かれ、言葉に詰まって「早寝早起き」と誤魔化す死神が可愛い。

男はその約束を破って、越後屋の旦那の枕元にいる死神を♪かごめかごめ~と歌いながら、布団を半回転させて足元に移動させ、呪文を唱えて退散させてしまう。礼金をせしめた男の前に先日の死神が現れ、「約束を破ったな!」。越後屋担当の死神は真打披露目間近だったのに、お陰で真打降格処分になったという…。

地下の蝋燭の部屋に連れていかれた男は自分の寿命である蝋燭が越後屋の旦那と入れ替わって、今にも消えそうになっているのを見せられる。男は居直って、「お前が俺に呪文を教えたことを閻魔様に喋るぞ!」と脅すと、死神は仕方なく燃えさしの蝋燭を渡すが…。最後まで笑いっぱなしの「死神」だった。