よってたかって春らくご 春風亭百栄「天使と悪魔」春風亭一之輔「団子屋政談」

「よってたかって春らくご」昼の部と夜の部に行きました。
昼の部 「色事根問」瀧川鯉津/「無精床」三遊亭萬橘/「天使と悪魔」春風亭百栄/中入り/「託おじさん所」林家きく麿/「団子屋政談」春風亭一之輔
夜の部 「都々逸親子」瀧川鯉津/「皿屋敷」桂宮治/「替り目」桃月庵白酒/中入り/「鼓ヶ滝」神田伯山/「金明竹」柳家三三
萬橘師匠。桶に入っている水、ボウフラが浮いているだけでなく、手で掬うと糸を引いているという…想像するだけで気持ち悪い。小僧の剃髪の稽古が鍋の底→猫→自分というのは怖い。犬が近づいてきて、親方が「いつも耳を食えると思うな」というのも怖い。
百栄師匠。鈴本演芸場の芝居で一之輔の代演で入った栄助。新作の悪魔の「席亭は同じ春風亭でも一之輔に夢中なんだよ!」、「あの春日部から来た老夫婦は一之輔を楽しみにしているんだよ!」。この後に上がる一之輔師匠を強調した自虐的なギャグが笑いを呼ぶ。新作の悪魔の言葉では、「お前は鈴本に悪い義理でもあるのか?」と「新作をやれば金も酒も女も地位も名誉も権力も手に入るんだ…ちょっと言い過ぎた」というのが好き。
きく麿師匠。「とんぼ」を歌いましょうと言って、長渕剛の♬とんぼ!グーチョキパーで何作ろうで、せんだみつおに五木ひろし。子守唄が♬聖母たちのララバイ(岩崎宏美)、シングル・アゲイン(竹内まりや)、風のロンリーウェー(杉山清貴)…全部「火サス」のテーマというのが可笑しい。そして、お別れの唄は♬また逢う日まで!きく麿師匠にぴったりの作品だ。
一之輔師匠。大岡越前守が金坊と約束した湯島天神の銀杏の木の待ち合わせ場所に馬に乗って、「暴れん坊将軍」のテーマで現れるのに爆笑。飴屋を100両、団子屋を300両で買い占めてしまい、金坊が「お父っつぁんと一緒の方がいい」と言うところ。「こんな家に生まれるんじゃなかった」と言うんじゃないぞと諭す大岡越前守の人情味溢れる裁きが良いね。
宮治師匠。お菊さんを観るために5万6千人が集まる。巨人vsドジャース戦と対比するのが面白い。そして、お菊さんの芝居掛かりのくさーい演技が面白い。
白酒師匠。酔っ払いの亭主の面倒くさいけど、愛おしいキャラクターがとても良い。女房に「どうせ、大根と玉子と蒟蒻なんでしょう」と先手を取られ、「もしかしたら、はんぺんが食べたいかもしれない。そのはんぺんが食えずに翌朝冷たくなって死んでいたらどうする」と抵抗するのが可愛い。うどん屋にも「煮え燗やぬる燗は駄目だ。人肌。二十七、八、三十デコボコの色白で丸ポチャで一重瞼で目尻が下がっていて、エクボが出るような女の人肌」と我儘を言うところが最高だ。
伯山先生。日本一に俳諧師、西行の慢心への戒め。和歌三神の意見を素直に受け入れたところに、日本一の日本一たる所以があるのだろう。
三三師匠。骨皮のところで、松公に「そんなに心配なら奥へ行かなきゃいいのに」と言わせて、「核心を突いてしまった」(笑)。「海老の尻尾を食べて、ピーピー垂れ流している」と言われ、相模屋のところへ慌てて言い訳をしに行く主人が、「正露丸を渡された」と言って帰ってくるのが可笑しい。「表具にやって兵庫の屏風にします」のところ、「兵庫県の有馬温泉には鼓ヶ滝…」と言って、伯山先生のネタを取り込む即興も愉しかった。