白酒むふふ 桃月庵白酒「鰻の幇間」&「青菜」

「白酒むふふ~桃月庵白酒独演会」に行きました。「鰻の幇間」と「青菜」の二席。ゲストはウクレレえいじ先生、開口一番は桃月庵こはくさんで「ろくろ首」だった。

「鰻の幇間」。藤村の羊羹を二竿携えて、野幇間が穴釣りをしようと稲葉さんと若林さんのお宅を訪ねるも失敗に終わり、岡釣りに切り替える演出は白酒師匠ならでは。

正体不明の男と鰻屋に入ったものの、無銭飲食で騙さたことが判って、野幇間が店員に悪態をつくところが面白い。埃だらけの二階座敷を掃除しなさいという忠告にはじまり、子どもに使わせるな、箸置きかと思ったら消しゴムだった…コクヨとある!お猪口が三蔵法師と孫悟空、徳利が沙悟浄と猪八戒、西遊記か!5年前まで中華屋をやっていたと聞いて、「だからお新香がザーサイだったのか!」。怒っているんじゃありません、憤っているんです!

酒は「上善如水」ならぬ「上善如酒」!鰻重の中を差して「これは何?」と訊くと、「国産です」「浜名湖の養殖です」「産地直送です」と答えるものの、最後まで「鰻」と言わない店員がすごい。掛け軸は「いいじゃないか、人間だもの」…「まつを」とある!みつをじゃないんだ、山崎?圓生か!そういう問題じゃない!

カスハラ(カスタマーハラスメント)?カスハラは不条理に怒ることを言うの!言っていることは全て道理にかなっているでしょ!というのが、最高に可笑しかった。

「青菜」。お屋敷での植木屋の反応がまず愉しい。鯉の洗いを見て、皮は黒いのに身は白いと教えられ、「日焼けした白人だね」。下に氷が敷いてあって、それをジュルーと口の中に入れて、「この氷、冷えてます!」。帰り道で、鯉の洗いなんて酢味噌の味しかしなくて、美味くもなんともない、氷の方が美味かったというのが可笑しい。

菜がないという隠し言葉、「鞍馬から牛若丸が出でまして、その名を九郎判官」を聞いて、「旦那、逃げましょう。裏庭からハルクホーガンが来ているんでしょ!」。謎解きを聞いて、「だったら、菜持ってこい!…食っちゃってないよ!でいいでしょう」。奥様が三つ指を付いたのも、「最上級の物貰いですか?」。

家に帰って、このことを女房に話すと、女房の方から「やってみたい!」と率先して、このお屋敷ごっこをはじめるというのが面白い。建具屋の半さんに対し、「ご精が出ますな、植木屋さん!」「汚れてもかまわん、お座りなさい」「あなたは日向で仕事をしていたから口に熱がある」…。

湯呑をガラスのコップ、当たり前の酒を柳影、鰯の塩焼きを鯉の洗いに見立てて、「脂が乗って美味いな」と言うと、「極淡泊なものです」。「菜は嫌いだ」というのを強引に「食べたい」と言わせ、押し入れから汗だくの女房が「旦那さまー」と登場するという…。漫画チックな映像が浮かぶ愉しい高座だった。