二ツ目勉強会 やっちゃう?!

らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開催しました。第17回のテーマは真夏の熱血噺!汗をかこうスペシャル。三遊亭ぐんまさんが体調不良のため急遽休演となったが、「寄席芸人で野球オーダーを考える」というのを元野球部の昔昔亭昇さんと林家彦三さんが大喜利でやろうとアイデアを出して、これがとても面白かった。大人の事情で実名は出せないけれど、悪しからず。

林家彦三「夢十夜」(夏目漱石作)

夏目漱石記念館から「漱石にまつわる落語を創って演ってくれ」という依頼が飛び込み、これが自分にとって相当“熱い”案件だったのでとエクスキューズして、まだ創作途中段階のこの噺を披露した。十夜のうちから、「こんな夢を見た」という導入で3ツほど取り上げていた。

「私、死にますわ。百年後に逢いましょう」と言って亡くなった妻を土に埋めると…。盲目の息子をおぶって森の中を彷徨うと…。女の顔を眺めるのが好きだった水菓子屋の正太郎が崖から飛び降りると…。3ツともミステリーというか、ファンタジーというか。文学青年の彦三さんらしい高座だった。

昔昔亭昇「反対俥」

大熱演!まさに熱い!一人目のてんとう虫を愛する優しい俥屋の「こんな話がありますよ」と繰り出す幾つもの“三吉の物語”が何とも独特の可笑しみを醸す。それによって、二番目に出てきた俥屋との対比になって面白い。

速すぎる俥屋。「音速の世界へ招待」と言って、乗客の頭が痛くなるほど速い。さらには「自分の限界を超える!」と宣言するのも可笑しい。上野駅に行ってくれと頼んでいるのに、北海道や京都に行っちゃう。かっ飛び過ぎ!

三遊亭花金「祇園祭」

三人旅の粟田口から入る本寸法がとても良い。で、京都で茶屋遊びが過ぎて、2人が脱落し、残った1人が梅村屋の二階で叔父さんと約束したが、叔父さんの都合が悪くなって、その友人が来るという…罵り合いになる前の設定がきちんと説明されていて丁寧だ。

そして京vs江戸。武蔵国の江戸じゃなくて“むさい国のヘド”、京で“この間の火事”と言ったら応仁の乱、東夷の田舎者で火が点く。お互いの祭自慢は賑やかで楽しく、お国自慢バトルはとても熱かった!

さて、大喜利の「寄席芸人で野球オーダーを考える」。1番ショート。走攻守揃っていて、華がある…二世落語家、サラブレッドの若手真打のあの人。2番セカンド。技巧派で頭脳派、職人タイプのいぶし銀…若手二ツ目のあの人。3番レフト。高打率のスラッガー、この人だったら間違いない…紫綬褒章も受賞している円熟のベテランのあの人。

4番ピッチャー。人気実力ともに文句なしの花形役者…今もっともチケットが取れないあの人。5番ファースト。長打力があり、ホームラン量産、守備もショートバウンドを巧みにさばく…今や中堅、吐く毒も人気のあの人。6番サード。パワーヒッターであり、チームのムードメーカー…国民的お笑い番組レギュラーで若手真打のあの人。

7番センター。出塁率高く、確実に得点源となる…テレビも寄席も人気が高い漫才コンビのあの先生。8番ライト。守備が器用で意外性のある打撃も見せる…ユニークな新作で人気を呼ぶ若手真打のあの人。最後、9番キャッチャー。チームを引っ張るリーダーシップ、監督も兼任できる…もはや落語界の重鎮で御意見番のあの人。

というわけで、昇さんと彦三さんの独断と偏見で選んだ、寄席芸人を野球選手に喩えたベストナイン、実際には色々な実名が出て、とても愉しい大喜利だった。