白鳥・三三 両極端の会

「白鳥・三三 両極端の会」に行きました。毎回、お互いに宿題を出しあって新作落語を創作する、アグレッシブな会。昨日の「一之輔・天どん ふたりがかりの会」同様、落語ファンには新作ネタ卸しが聴ける有難い会だ。企画に賛同して取り組む師匠たちは勿論だが、主催のらくご@座さんにも頭が下がるばかりだ。

三三師匠から白鳥師匠への宿題は「不景気だとか値上げだとかの世の中、お金がからむけど笑える噺を!」、白鳥師匠から三三師匠への宿題は「ときめく切ないラブストーリーをよろしく!」。どちらも、それぞれの個性が光っていて、とても面白かった。

オープニングトーク/「それいけ!落語決死隊 金の亡者」三遊亭白鳥/中入り/「姫様の忍術」柳家三三/エンディングトーク

白鳥師匠、前回の「コロナ退治」に続く、落語決死隊の続編に。アジャラカモクレンの呪文でコロナを退治し、ようやく闇落語禁止法も解除となり、寄席も再開した演芸界が舞台だ。

コロナ禍後は客層が激変し、女性客や子供が寄席に大勢来るようになった。落語協会も三遊亭白鳥師匠が自作提供で票固めをして会長に就任。すると、「古典落語を演じるごとに10%の著作権料を徴収する」というルールを作って、自らはブラックスワンと名乗り、金の亡者になった…。

だが、その真相はその財源を使って、落語協会の事務所の中に落語長屋を作って、寂しい老後を送ることになってしまった芸人を住まわせ、彼らを助けてあげようという優しい心遣いだった。そして、その芸人にとって適材適所の働き口も斡旋してあげていたという…。

具体的な内容を書くと、その芸人の悪口になってしまうので伏せるけど、白鳥師匠特有の内輪ネタ満載で笑いを取る術はきょうも健在だった。

三三師匠、関ヶ原前後の戦乱の世というしっかりとした時代背景がストーリーの軸としてあり、場面ごとの情景がきっちりと描かれているので、内容が若干荒唐無稽でも聴き手の想像力がついていけるのが強みだ。

お転婆な姫おつるが三太夫の言うことも聞かず、山歩きに出掛けると、マムシに噛まれて、崖から落ちそうになる。そこを殿お抱えの忍者・戸隠カバ蔵が助け、イケメンだったこともあり、姫はカバ蔵に一目惚れしてしまう。

忍びの者になりたいと言い出した姫の願いを、父である殿は「戦国の世ゆえ、それもよかろう」と許す。だが、カバ蔵は信州戸隠で天狗の下で修行した際、今後人目に晒すのは三度きりと言い渡された。殿に抱えてほしいと願った際に一度、そして姫を救出した際に一度、都合二度人目に晒したことになり、これ以上は姿を現すことができない。そこで姫は遠隔で忍術を伝授され、会得した。

やがて関ヶ原の合戦により、徳川家優勢の世になった。だが、おつるの父である殿様は豊臣家に恩義があるため、城を枕に討ち死にするという。三太夫は姫を連れて逃げ、御家再興を託されたが、実は徳川方に通じていた。痺れ薬を盛って、姫暗殺を狙ったが、そこに戸隠カバ蔵が現われ、毒消の護符を口移しで含ませ、姫の命を救った。これで三度人目に晒したカバ蔵は、実は姫のことを慕っていたという言葉を残して消え去る。

命を救われた姫は会得した忍術を駆使して、江戸へ落ち延び、居酒屋を開業して、常連客からは「お鶴姐さん」と呼ばれ親しまれている。女手ひとつでやっていくまでには様々な難敵があった。だが、その度にカバ蔵が陰で助けてくれているのか、その難を逃れ、今日があるのだと振り返るお鶴であった。

まさに人目を忍ぶ恋。これこそが、ときめく切ないラブストーリーではないか。三三師匠の創作の才を改めて垣間見たような気がした。