新宿末廣亭二月下席初日夜の部、そして鈴々舎馬るこ勉強会

新宿末廣亭二月下席初日夜の部に行きました。春風亭一蔵師匠が初主任の興行だが、去年9月真打昇進なので、僅か5か月で主任を任されたのはすごいことだ。同時昇進の入船亭扇橋師匠も次の鈴本三月上席夜の部で主任を勤める。お互いに刺激し合うライバルがいて、切磋琢磨するのは大変好ましいことだ。

「猫と金魚」春風亭朝之助/音楽パフォーマンス のだゆき/「道具や」金原亭杏寿/漫談 林家たけ平/紙切り 林家正楽/「ぞろぞろ」桂文雀/「天狗裁き」柳家さん喬/ギター漫談 ペペ桜井/「転失気」春風亭一朝/中入り/「紙入れ」柳亭小燕枝/漫談 ホームランたにし/「ん廻し」蝶花楼桃花/「千早ふる」橘家文蔵/太神楽 翁家勝丸/「笠碁」春風亭一蔵

朝之助さん、「私は食べていません」。金魚と金魚鉢と水を別々に考えてしまう、番頭。「つきましては、旦那にお伺いしたい…」。のだゆき先生、音楽の妖精のよう。ファミリーマートの入り口の音楽をジャズ風に。そして、杏寿さんの二ツ目昇進を祝し、沖縄風アレンジも!

杏寿さん、壽二ツ目昇進。可愛らしい与太郎。オミャーのミャーのタントウをムセチューノ!たけ平師匠、相変わらず。なぜいつも漫談に逃げるのか。正楽師匠、名人芸。相合傘、お花見、勧進帳。文雀師匠、太郎稲荷の御利益。念仏婆さんの話挿入が良い。

さん喬師匠、端正。さては幕府転覆を狙っているな!ペペ先生、永遠のマンネリズム。一朝師匠、イッチョウケンメイ。ブー、スー、ピー。奥様とテンシキをやったりとったり?屁にも思いません落ち。

小燕枝師匠、同期の桜。色っぽいおかみさん、「お待たせ!」。飛んでイスタンブール!「新さん、コレ、忘れ物!」と旦那の前で手渡す大胆さ。たにし先生、介護レクレーション1級合格!ボケ防止の方法伝授。一昨年亡くなった寛太郎先生は「親友ではなく心友だった」。涙。

桃花師匠、何でも一番の六ちゃん。トマト、キャベツ、キュウリ!文蔵師匠、百姓一揆に三田明。小田原丈とオダギリジョーの違い。そして、お得意の「とは」は一蔵に任せた!落ち。勝丸師匠、ヘタレキャラ?花籠手毬の失敗多し。

一蔵師匠、競艇好き。博奕と碁将棋に凝ると親の死に目に遇えないとこの噺。強情vs我儘。ザルvsヘボ。文蔵師匠の宿題は「定吉、戸は(とは)閉めなさい」でクリア。孫もいる大の大人の子どものような喧嘩、犬も食わない感じを滑稽味まじえて良く表現していた。

帰宅して、配信で「まるらくご 爆裂ドーン!~鈴々舎馬るこ勉強会~」を観ました。「いぼめい」と「姉妹仇討白石噺」の二席。

「いぼめい」は去年の落語協会新作台本コンクール募集で優秀賞を獲った作品。父親が転勤族で色々な地方の方言が混ざって、すごい訛りの男がある会社の面接試験に来るという設定だ。面接を担当する上司と部下の二人は「圧迫面接」を恐れて、何とか聞き取ろうと努力するが…。演目名にある「いぼめい」とは、自分の長所を訊かれたときの回答で、どうやら、若者言葉の「エモい」に相当することが判る。

面接が終って、YouTubeを見ていたら、この面接に来た男が標準語で喋っている。どうやら、わざと強い訛りで数社の面接試験を受け、その会社の印象を試していたようだ。他の会社は「何言っているかわからない」とけんもほろろだったが、何とか聞き取ろうと努力した会社のことを高く評価していたという…。原作に馬るこ師匠の手が加わっているとは思うが、大変優れた新作だと思った。

「姉妹仇討白石噺」は2月1日に鈴本で馬るこ師匠が主任初日のときに掛けたのを僕は聴いていて、そのことはこのブログにも書いているが、どうやら千秋楽にも掛け、さらにブラッシュアップされている印象を受けた。

基は文楽や歌舞伎の「碁太平記白石噺」の一部を取り出し、ある作家の方が講談にしたらしい。それを馬るこ師匠が落語化した。基の講談を内包する形で、二人の娘を持つ父親がどう躾したら良いか、隠居に相談するスタイルを取っているのだが、それによって笑いの要素がふんだんに盛り込まれ、なおかつ餡子の講談部分は崩さずに楽しめるという、素敵な新作に仕上がっている。

父親の仇討のために、姉妹が由井正雪の道場に入門し、剣術ではなく、行儀見習いをすることで、自然と仇討の技術が身に付いていたという噺だ。簡単に言うと、柔よく剛を制す。それを説教臭くなく、笑いの多い落語にすることで、素直にそのメッセージが伝わってくる。馬るこ師匠の面目躍如たるところだ。