二ツ目勉強会 やっちゃう?!

らくごカフェで「第14回 二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開きました。コロナ禍の2020年10月に産声をあげたこの会も4年目に突入。落語協会と落語芸術協会の二ツ目が混じり合い、切磋琢磨していこうという趣旨で集まった4人の息も今ではぴったりあうようになってきた。今回のテーマは“あったまる噺”。毎回盛り上がるオープニングトークと4人の熱演で客席も温まりました。

「桃幻郷」(作・ナツノカモ)林家彦三

二人で旅をしている途中、桃の花が咲き誇っている道に出っくわす。すると、幼い頃に亡くなった母親や幼なじみのお花ちゃん、世話になった親方が次々と現れては、消えていく…。なぜか、はぐれてしまった相方に訊くと現実世界の人間にしか出会わなかったという。あの幻は何を意味していたのか。ノスタルジックな温かさを感じるナツノカモ先生の作品である。

「ステキな誕生日」昔昔亭昇

友人が用意してくれた誕生日プレゼント。それは暗号を解いていくと到達するというゲーム性に満ちたものだった。いくら暗号を解いても、また暗号が次々と続き、果てしない。ようやく出会えたプレゼントは母親との出会い。そうか、誕生日は自分を産んでくれた母親への感謝を忘れずにということなのか…。そんな感動的なラストシーンが見られると思ったら!昇さんらしいパワフルな高座だ。

「悋気の火の玉」三遊亭花金

花川戸の自宅から飛び出す勢いのある正妻の火の玉。根岸の妾宅から飛んでくる色気のあるお妾さんの火の玉。中間地点の吉原田圃での激突は瓦版にも載るほどの噂に。事を納めようと旦那が知り合いの住職に頼んで供養してもらうが効かない。鼻息の荒い正妻の火の玉の悋気の強さが花金さんの高座からよく伝わる。私の火の玉じゃ煙草も美味しくないでしょう、フンッ!

「土底(どてい)の英雄(ヒーロー)」三遊亭ぐんま

モグラの社会のファンタジーロマンですね。種族の違うモグラが抗争を繰り広げている中、人間の環境破壊によって箱根山が噴火するという危機が訪れる。モグラたちは「種族の違いなんて言ってられない」と、力を合わせて箱根山の噴火を食い止めようと自然との闘いに挑んでいく…。途中、音楽が挿入され、モグラたちの喜怒哀楽の日々の回想シーンを仕草のスローモーションのみで表現するところ、ぐんまさんの創作の底力を見た気がした。拍手喝采!