正月二之席~寄席はまだまだお正月
鈴本演芸場の正月二之席五日目に行きました。寄席の世界は1月20日までお正月である。つまり、二之席千穐楽まで。世間はお屠蘇気分など、とっくに抜けているけれど、寄席に行くとまだおめでたい気分が味わえる。この日、高座に上がった紙切りの林家二楽師匠に干支の卯にちなんで、「バニーガール」を注文して切って頂いた。存分にお正月気分を味わえた。
「牛ほめ」三遊亭東村山/「反対俥」柳家さん光/紙切り 林家二楽/「たらちね」入船亭扇遊/「あくび指南」柳家さん花/奇術 ダーク広和/「四段目」春風亭柳枝/「雪とん」入船亭扇辰/中入り/漫才 風藤松原/「歯シンデレラ」林家きく麿/三味線漫談 林家あずみ/「稲葉さんの大冒険」柳家喬太郎
東村山さん、しっかりした前座。口調も良い。与太郎が上手かった。さん光さん、相変わらず婚活パーティーのマクラ。今年9月に真打昇進予定。本編の噺の方も不安が残る。
二楽師匠、大人の対応。鋏試しの羽根つきを貰いに来たお客さん、なかなか高座の前を離れずに話しかける。「これでご注文を受けられる数が一つ減りました」。前述のバニーガールとパンダを切って高座を降りた。
扇遊師匠、初席三日目で聴いたのと同じネタ。でも、持ち時間が長いので、上手に編集しているのが良く分かる。「酒を飲むのは酔って件の如しだ」までしっかり。さん花師匠、とぼけた味わい。女性の師匠と思って行ったら、「あれは家内です」と出てきた男性の師匠に落胆するのが愉しい。不器用な夏のあくびも良い。
ダーク広和先生、羽織袴姿。白と赤の紐2本が繋がってしまう、紅白のおめでたい手品が絶品。柳枝師匠、定吉の造型が良い。憎たらしいんだけど、可愛いの。芝居台詞も決まっている。
扇辰師匠、渋い。三割弱の客席を見て、「こういう時には、珍しい噺を」と。「お祭佐七」と対になっている得意ネタ。田舎の若旦那の野暮と、イケメン鳶頭の粋の対照が面白い。
風藤松原先生、センスが良い掛け合い。ジャンケンネタ。パーがパイナツプル、チョキがチヨコレイトと食べ物なのに、グーはグリコでなぜ企業名?(笑)きく麿師匠、小林旭熱唱。お年寄りの女性の描き方がファニーで良いね。あずみ師匠、“きく麿師匠の乳首”の話題で終始。長崎ぶらぶら節とギッチョンチョンでお茶を濁す。
喬太郎師匠、愉しそうに円丈作品。エッチなファッションヘルスのティッシュに困惑する真面目一徹のサラリーマンの慌てぶりを笑い沢山で描く。公園に現れた犬の散歩途中の長谷川老人のエキセントリックとの対照も切れ味抜群。爆笑に次ぐ爆笑で、コロナ死亡者数過去最高の不安も吹き飛ぶ。