【アナザーストーリーズ】戦後最大のヒーロー・力道山 知られざる真実(4)

NHK総合の録画で「アナザーストーリーズ 戦後最大のヒーロー・力道山 知られざる真実」を観ました。

きのうのつづき

実はこの一戦で、興行主を交えた事前の話し合いがあったという。木村の証言によれば「最後は引き分けにする」というものだった。力道山がそれを呑んだかどうかは藪の中だ。しかし、実際の試合では…。

増田俊也が語る。

木村先生は何度も「これ、プロレスだろ?」といって、タックルにいって止めたりとか、まあまあとレフリーに色々と言っているところが映っていますよね。「これ、プロレスだろ?」ってことですよ。そこで横からバンバンバンとこられて転倒しちゃって、KOされちゃった。

一方的で壮絶な試合内容に批判が噴出した。しかし、なぜ力道山はあれほど怒ったのだろうか。

村松友視が言う。

力道山は日本にプロレスという新しい文化を根付かせようと思っている。そういう意識を持っているものだから、それを全否定、あれは嘘だったってことにされるのは怒りにつながることだと思うんですよね。プロレスの場合はフィクションと現実と絡め合ったような感じの不思議な娯楽スポーツの在り方の魅力ですよね。ショウスポーツだと極めていく意識があったと思うんです。

後に力道山は感情的になったことを認め、木村と手打ち式をおこなっている。プロレスに人生をかけた力道山。一方、木村はリングを去った。

拓殖大学柔道部。木村の母校だ。その後、木村はここで後進の指導にあたり、大学日本一にも導いた。弟子の正木照夫は木村を間近で見つめ続けた。

木村先生が柔道場で怒ったのを私は記憶がないですね。何で怒らないのかくらい、怒らないんですね。

木村政彦にとって、プロレスとは何だったのか。

ご自身が自ら進んでプロレスにいこうってことはなかったということを私は聞いています。木村先生にとっては非常につらい時間だったと思います。プロレスっていうのは木村先生にとって真逆の世界だったから。そのときが一番苦しかったというか。私はそう感じ取りましたね。

増田俊也は二人の戦いをこう受け止めていた。

プロレスっていうのは力道山にとって命懸けのものだった。木村先生にとっての柔道だったんだよ。力道山も真剣勝負だった。木村先生も真剣勝負だった。二人とも真剣勝負で生きた時代だったんだよ。

つづく