【文楽5月公演 第3部】「桂川連理柵」長右衛門への深い愛情。女房お絹に胸締め付けられる。

国立劇場小劇場で「人形浄瑠璃文楽5月公演 第3部」を観ました。(2022・05・09)

「桂川連理柵」石部宿屋の段~六角堂の段~帯屋の段~道行朧の桂川

長右衛門の女房、お絹の心情に胸を締め付けられる。隠居繁斎の後妻おとせと、連れ子の儀兵衛の悪質な詰問に耐える長右衛門。それを見ているお絹をどんな気持ちでいたのだろうか、と思うと。

儀兵衛が長右衛門と信濃屋の娘お半との仲を追及するところ。お半から長右衛門に宛てた手紙を皆の前で読み上げる。恩ある家の、しかもまだ子供のようなお半との関係。簡単に言えば、歳の離れた若い娘との不倫疑惑である。苦悩する長右衛門。

だが、お絹は気丈だ。手紙の「長様」とは長右衛門ではなく、信濃屋の丁稚の長吉だと言い張り、隣家から長吉を呼び出す。儀兵衛が問うと、長吉は「お半は自分の女房だ」という。六角堂の段で、お絹が長吉に塗っておいた薬が功を奏した。これで何とか、収まったように思えたが…。

お絹と長右衛門が二人きりになったところ。お絹は、お半とあなたの関係はとうに知っており、お百度参りしたのは長右衛門がわたしに愛想尽かしをしないようにと願ってのことだと語る。おぉ、なんという健気な女房だ。お絹の心を知った長右衛門は、宿屋での出来事を話し、詫びるしかない。

そして、横になった長右衛門。お絹がそっと蒲団を掛けて奥へ入ると、長右衛門は忍び泣く。父・繁斎やお絹への申し訳なさ。お半が実は身籠っていること。さらに大名から預かった正宗が偽物にすり替えられたこと。これはもう、死ぬしかないと覚悟する。

そこへ、お半が忍んでやってくる。もう、この娘も厄介な女だなあ。長右衛門のことを思い切るつもりで、一目会いたいと。長右衛門は早く帰るように促す。だが、門口には書置きが…。桂川に身を投げる覚悟だと。もう!

長右衛門はお半を見殺しにできないと、追いかけ、共に身を投げて罪滅ぼしをしようということになる。辿り着いた桂川で二人はあの世への旅立ちをするのだ。

長右衛門が少し可哀想に思うのだが、実は15年前に芸子と桂川で心中しようとして、自分一人だけ生き残ったという過去があると知り、これも因果と思う。

石部宿屋の段 竹本三輪太夫/野澤勝平 ツレ:豊竹咲寿太夫/鶴澤清允

六角堂の段 豊竹希太夫/竹澤團吾

帯屋の段 前 豊竹呂勢太夫/鶴澤清治 切 豊竹呂太夫/鶴澤清介

道行朧の桂川 お半:豊竹睦太夫 長右衛門:豊竹芳穂太夫 ツレ:竹本津國太夫・竹本碩太夫・豊竹薫太夫/竹澤團七・鶴澤友之助・野澤錦吾・鶴澤清方

娘お半:豊松清十郎 下女りん:吉田玉路 丁稚長吉:吉田玉佳 帯屋長右衛門:吉田玉也 出刃屋九右衛門:桐竹亀次 出刃屋の女中:吉田玉延 女房お絹:吉田勘彌 弟儀兵衛:吉田玉志 母おとせ:桐竹勘壽 親繁斎:吉田清五郎