「人生はうまくいかない。だから面白い」…スヌーピーが教えてくれたもの(5)
NHK総合の録画で「アナザーストーリーズ スヌーピー最後のメッセージ~連載50年 作者の秘めた思い」を観ました。
きのうのつづき
1999年にガンに倒れたシュルツ。その年の暮れ、シュルツは50年続けてきた連載を終えると発表。引退を宣言した。
番組の第三の視点は、その最終回の舞台裏の知られざる物語だった。
シュルツの妻、ジーンは漫画に生涯をかけたシュルツを傍らで見守り続けた。
引退時期についてマスコミに問われたことがあるけど、夫はこう答えていました。「この手が描きたいと思う限り、腕が震えても辞めたくない」。漫画は彼にとって掛け替えのないものだったの。
77歳でついに「ピーナッツ」を描くことを諦めたとき、シュルツは何を思ったのだろうか。見舞いに行った親友のディーンが言う。
シュルツは何回も言った。どうして、私なのか。私は永遠に漫画を描けると思ったのに。どうして神様は私から漫画を奪ったのだと。非常に悲しそうに言ったんだ。
この頃に撮影したシュルツ本人のインタビューが残っている。
チャーリー・ブラウン。ここまで入れ込んで描いた友はいなかった。最終回の原稿に自分の名前をサインするときには泣いてしまうかもしれない。もう、チャーリー・ブラウンが二度とフットボールを蹴ることはないんだ。
このとき、もう一つのプロジェクトが密かに進行し始めていた。最終回の制作だ。シュルツ本人が描き溜めたストックは翌年2月で尽きる。その直後の日曜日となる2000年2月13日版にシュルツからのメッセージを伝える最終回を作りたい。
アシスタントのペイジを中心に、そのプロジェクトは動き出した。
シュルツさんのメッセージをジーンさんから伝えてもらいました。私は提案したんです。スヌーピーをタイプライターの前に座らせ、シュルツさんの言葉を入れればどうかと。あとはどうやって最終回を作ったか、覚えていません。彼の人生の最後のときを共有するわけですから。これが最後の漫画だと思って作っていたら、多分できなかったと思います。
シュルツが読者に伝えたいメッセージ、そして是非とも入れたいお気に入りの場面を、妻のジーンが丹念に聞き取る。それを基にペイジがレイアウトに並べていった。子ども時代から夢見てきた漫画「ピーナッツ」。その思いの丈を、その最終回に注ぎ込んだ。
つづく