【プロフェッショナル 美容師・髙木琢也】俺は、人生をデザインする(3)
NHK総合の録画で「プロフェッショナル 仕事の流儀 美容師・髙木琢也」を観ました。(2019年5月14日放送)
きのうのつづき
髙木は思う。個性は自らと向き合うことでしか手にすることはできない。大事なのは、もがくこと。這いずり回ること。雄人の中で、何かが変わり始めていた。
誰よりも早く出社し、自らの髪をスタイリング。髙木のカットを手に覚え込ませる。そして、ハサミを動かし続ける。
店に来てから一週間後、初めて自らのカットを見てもらいたいと髙木に告げた。挑むのは、この店一番人気のショートスタイル。サイドにツーブロックを入れ、丸いフォルムを作るのが特徴だ。そこに自らの“こだわり”をどれだけこめられるか。
髙木のチェック。雄人はカットモデルの気持ちを汲み取り、独自の髪型にアレンジしていた。だが…。
耳にかぶっているよ。
もみあげ、太くない?
まだまだこだわれることはある。髙木は目指すべき高みを見せつける。
俺ももともと普通の人間だし、何が強みかなんて分からないし、だからこそ全部やる。雄人は根性もあるし、お客様を喜ばせる能力は持っているんですよ。だから、磨いたらダイヤモンド以上のものになるのになっていう。がむしゃらにやり続けるしかないですよね。そこにちゃんと突き抜ける覚悟がないと。
その後も髙木はあえて厳しい眼差しを雄人に向け続けた。
この日、雄人がお客を待たせたことについて、激しく叱った。
毎人、毎秒、考えられる人間になれよ。ずっとお前がぬるい生活してきたから、同期に抜かれて。結果出てんだろう。結果出ても、今、急げねえだろ。もとを正せば、ちゃんとその人を考えてやっているかどうか。いかにお客さんのことを考えられているかどうかだと思う。
お前、お客さん目線に立っている?前回より良かったと思ってもらえる仕事してみろよ。俺、偽物の美容師作りたくねえから。スターになるんじゃないの?可能性はゼロじゃないからね。その可能性増やすのは誰がやるの?
髙木が語る。
嫌でも「その人(客)のことだけを考えよう」っていう癖をあいつに付けさせたい。厳しいけどね。頑固じじいだし。嫌われようが、別に関係ないですっていう。その代わり、今厳しかった、将来的にはあのとき辛かった、本当に地獄だったな。でもあれがあったから、今、自分がこうなれているんだなという。5年後に夢を見せてあげたいというか。一番できなかったけど、すげえ頑張ったから一番売れる人になるんだっていう。「夢を作るのが俺の仕事だな」って思っている。
つづく