【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】それぞれの“噓八百”な噺に、4人の試行錯誤が見えた。

らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開催しました。(2022・04・04)

第9回である。今回のテーマはエープリルフールにちなんで、「嘘八百」。でも、よく考えると、落語のほとんどが嘘みたいなもので、その中から噺を選ぶのはかえって苦労したかもしれない。

それにしても、回を重ねるごとに、常連お客様も増えてきて、ありがたいことである。毎回書いているかもしれないが、四者四様の個性がぶつかり合い、高座がそれぞれ個性に溢れ、笑いが途絶えない。温かいお客様によって、演者4人も成長していっているのが手に取るようにわかる。

気を引き締めて、何年も続く会にしていきたい。彼らが真打になるまでを、きちんと見届けるような会にしたい。そう思うのである。

「やかん」昔昔亭昇

物知りのふりをして、実は何も知らないご隠居。言葉の由来を、滅茶苦茶なこじつけで押し切る。これ、罪のない嘘つきで可愛い。前半、魚根問の部分が、あまり聴いたことのないものばかりで、とても新鮮だった。どなたの型なのだろう。川中島合戦のやかんの由来の講釈部分、非常に勢いがあって、実力を感じた。

「辰巳の辻占」三遊亭花金

何でも知ったかぶりをする小学校時代の同級生の思い出話など、相変わらずマクラが面白い。深川の辰巳芸者はとりわけ気が強かった。ツンデレではないけれど、そういうツン!とした女性に惹かれてしまう男の気持ちがよく伝わってくる。おじさんから教わった心中持ちかけ、男と女の騙し合い。上手に演じないと嫌な気持ちになってしまうが、その辺の処理が上手いなあ。

「新・北三国志」三遊亭ぐんま

これは噺全体が「嘘」という、新作で面白い。栃木、群馬、茨城の三県の擬人化で、競い合い、天下統一を狙うという。群馬県人ならではの地元自慢はもちろん、それに並ぶ栃木や茨城の特産、名産もちゃんと出している研究熱心。栃木は日光東照宮、群馬は富岡製糸場と、世界遺産がある!に対し、茨城には海がある!というのには爆笑。

「花筏」林家彦三

花筏の身替りを引き受けた提灯屋の人物造型に力点を置いて、楽しかった。相撲は取らなくていい、ただ土俵の下に座っていればいいと言われた提灯屋。夜は大酒を飲み、大飯を食らい、女中を口説くという元気なところを見せちゃった油断。地元の素人相撲ナンバーワンの千鳥ヶ浜と千秋楽結びの一番での対戦に怯えてしまう気弱さとの対照で面白く聞かせた。