【わたしの芝浜~林家つる子の挑戦~】女性目線の落語に挑む姿に感銘を受けた(3)

NHK総合の録画で「目撃!にっぽん わたしの芝浜~落語家・林家つる子の挑戦~」を観ました。

つる子が悩んでいたのは、噺の印象を決めるサゲだ。おかみさん目線に相応しいサゲにしたいが、アイデアが浮かばなかった。

信頼している日本舞踊の師匠に相談するとこう言われた。

絶対賛否両論ある。全員が拍手なんてことはまずないから。新しいことをやれば、なおさらものすごく風当たりが強いと思うけど、でもその中でもいいと思う人もいる。女性にとってみれば「あっ、いいな。こういう描き方をしてほしいな」と思いますから。挑戦よ。

そして、いよいよ、本番。新しい「芝浜」を披露する高座だ。

おかみさん目線の「芝浜」は現代の女性、落語ファンの心を掴むことができるのか。

つる子が新たに加えた「馴れ初め」の場面。

このアジ、美味しそうですね。

おっ、わかります?あら、嬉しいな。そうなんですよ。このアジね、俺が今年見た中でも一番美味そうなアジでさ。さっき、大家さんともそんな話していて。嬉しいね。美味そうとか、わかるの?じゃ、また後で来ますんで。

はい。なんか、あの人…。

さらに悩んでいたサゲ。夢だと嘘をついていたことを謝るおかみさんに、夫は怒るどころか、感謝し、酒を勧める。

俺なんかいいから、お前に飲んでほしいんだな。ホラ、いいから。酌をしてやるよ。ホラ。

そうかい?こういう日は、お酒を飲まなきゃ罰も当たるかもしれないね。酌をしてくれるのかい?

いいから、いいから。

酌をしてもらえるなんて、久しぶりだね。じゃぁ、いただこうかな・・・やめた。

なんだよ。俺の酌じゃ美味くないか?

そうじゃないよ。また夢になったら嫌だもん。

見事である。つる子は言う。

わざわざやらなくてもいい、と言う人もいるだろうし、この変え方はどうなんだと言う人もきっといらっしゃると思う。本当に一人二人のお客さんにでも響いていたら、やった意味はあったと思うので。

落語をこれからも残していくために、現代に寄り添ったアプローチが少しずつできればいいと思っているので、挑戦を続けていきたいと思います。

変わる世の中を見つめながら、落語の新たな可能性を追い求めていく。そんな林家つる子の挑戦に拍手を送りたくなった。