【わたしの芝浜~林家つる子の挑戦~】女性目線の落語に挑む姿に感銘を受けた(2)

NHK総合の録画で「目撃!にっぽん わたしの芝浜~落語家・林家つる子の挑戦~」を観ました。

つる子は、これまでの「芝浜」には描かれていない、おかみさんの夫への思い、それを表現できないかと考え始めていた。

おかみさんの気持ちに迫りたいという場面があった。革財布を拾ったのは夢だと嘘をつく場面だ。夫を立ち直らせるための嘘だと受け止めてきた。しかし、「夫のため」という理由に、今どきの女性が納得するだろうか。

つる子は週に1回、出身地である群馬県高崎市のラジオ局に出演している。その局の29歳の女性アナウンサーに「芝浜」のCDを渡し、聴いてもらった。彼女は普段は落語を聴かない初心者だ。

彼女が言う。

初めて聴いたときは、すごくピュアな恋愛しそうな人だな、おかみさんと思いました。好きじゃなきゃ、そんな大きな嘘はつこうとは思わない。私はおかみさんの最後の賭けだと思っている。「好きでも、もうこれ以上一緒にいられない」という賭けだと思っているので。「これで駄目だったら、私もすっぱり好きだけど別れられる」。捉え方変えたら、「自分のため」じゃないか。

これを聞いて、つる子は、おかみさんは覚悟をもって嘘をついたんだよという、凛とした強さがあると感じ取った。だいぶ女性サイドの物語になってくるかな、という気がしてきた。

新たなおかみさん像が浮かんできた。

つる子は、これまでの「芝浜」にはない場面を付け加えようとしていた。夫婦の馴れ初め。幸せを追い求める一人の女性として、おかみさんを描き出したいと考えていた。

今まで過ごしてきた勝っつぁんとの日常の信頼関係。ほっこりできる部分があったからだと思うんですよね。好きで、できれば一緒にいたいけど、でも自分もつらいのはもう嫌だとという部分はあったと思うので、彼氏・夫に対してそうだなとか、女性サイドで共感できる部分を増やすことによって、すっきりするんじゃないかと。

つづく