柳家喬太郎「短命」結末に新たな展開。八五郎に何が・・・!?
三鷹市芸術文化センター星のホールで「柳家喬太郎みたか勉強会」を観ました。(2022・02・19)
喬太郎師匠は昼の部で「禁酒番屋」と「任侠おせつ徳三郎」、夜の部で「短命」と「双蝶々 定吉殺し」を演じた。
昼の部は「寄席チャンネル」のカメラが入っていて、収録したものを後日CSなどで放送するとのこと。そうすると、どうしても画面の向こうでどんな人が聴いているかわからないから、喬太郎師匠は意識してしまって、マクラなどに自主規制が入ってしまう。実際、収録がなかった夜の部で師匠は弾けたマクラを展開してとても面白かった。
Vシネマの「痴漢日記」シリーズをケーブルテレビで観た感想を実に軽妙にお喋りになって、それはそれは愉しかった。配信もそうだが、カメラがホールに入ってしまうと、どうしてもナマの高座の魅力が半減してしまうことは否めない。全国の、普段は寄席やホール落語に行けない人たちにとっては、とてもありがたいことなのは重々承知しているので、あまり批判的なことは僕も書かない。だけれど、やはり落語はナマに限るなあと思う次第である。
喬太郎師匠の4席で、新鮮だったのは「短命」である。普段から、喬太郎師匠の「短命」は独特で、「伊勢屋の若旦那が三度死んだ」理由を隠居が八五郎に説明しているうちに、二人に間に妙な空気が流れ、二人がボーイズラブみたいになってしまうのが、とても可笑しい。大好きである。
この日の「短命」はさらに一捻り加わっていた。八五郎が独身なのである。だから、ご隠居の話を聞いた後に自宅には帰らないし、ましてやおまんまなどをよそって食べたりしようとはしない。
直接、伊勢屋の若旦那の通夜に悔やみに行くのである。そこで、番頭に打ち明けられる。実はうちのお嬢様は八五郎さんに惚れていてね…。で、八五郎は素直に婿に入り…、後はご想像の通りである。
さて、この新しいバージョンの「短命」を喬太郎師匠は今後も披露することがあるのか?それとも、この日だけの特別バージョンなのか。それは、今後のお楽しみである。