【祝!桂宮治師匠復帰】熱気に包まれた、新宿末廣亭二月中席七日目
新宿末廣亭で「二月中席夜の部七日目」を観ました。(2022・02・17)
桂宮治師匠が真打昇進披露の後、初めてトリを取る興行で、なおかつ色物さん以外はほとんどが成金メンバーという極めて実験的な試みで随分前から話題になり、僕も行ったみたいなあと思っていた。ただ、人気興行になることは確実で、朝早くに整理券をもらいに末廣亭に並ばないといけないのかあ、と躊躇していたら、これまた初めての取り組みとして、イープラスで整理番号付き前売り券を発売するという。それならば、と自分のスケジュール帳とにらめっこして、七日目の前売り券を購入した。
そして、興行近くになったら、肝心の宮治師匠が「新型コロナのみなし陽性」ということで、初日からの休演が発表されるというハプニングが発生。トリを他の成金メンバーが代演するという形が続いていたが、ようやく自宅待機が解けて、七日目から宮治師匠が復帰というニュースが流れ、結果的に僕は「宮治復帰初日」の興行を観ることができた。
桂空治「やかん」/春風亭柳若「反対俥」/小泉ポロン/笑福亭羽光「あるある帝国」/春風亭昇々「百戦錬磨」/マグナム小林/昔昔亭A太郎「罪と罰」/桂伸衛門「花見泥」/ねづっち/柳亭小痴楽「磯の鮑」/中入り/春風亭昇也「馬のす・改」/ニュースペーパー/瀧川鯉八「多数決」/神田伯山「山田真龍軒」/ボンボンブラザース/桂宮治「初天神」
客席も楽屋も「宮治復帰」という、何かお祝いムードのようなものが流れていた。伸衛門師匠は噺の途中で宮治師匠の出囃子である阿波踊りを鳴り物で入れるし、ねづっち先生は「笑点」とかけて「電子レンジ」と解いて、「珍解答(チン解凍)」、昇也さんも骨折の痛みも忘れて「戸越銀座と声を掛けるとどうなるか」という改作を披露するし。片足骨折かっぽれ付き。
小痴楽師匠、伯山先生、ボンボンブラザース、ときっちりと高座を温めて、トリの宮治師匠へ繋ぐ、前座の空治さんからずーっと熱気が途切れない見事な寄席の流れだった。
そして、宮治師匠登場。いきなり、座布団を外して、下手にあったスタンドマイクを持ち出し、「きょうは落語、やらないよ!立ちで漫談だよ!」と宣言して、PCR検査もせずに「みなし陽性」にされた愚痴からはじまる爆笑漫談。「末廣亭の席亭に怒られる」「明日からは、外の俺の看板が赤色に変わっちゃう」などと言いながら、「10日間の自宅待機のストレス発散」を喋り続ける。
ネットスーパーと出前館にお世話になった、「笑点」に気遣い、「一日中、日テレのワイドショー」見てました、と。途中日テレだけでなく、TBSの取材カメラも入っていることに気づくと、「TBSにもお世話になっています」。伯山先生に悪態をつくところでは、楽屋から私服の伯山先生乱入も。
それでも、理性は失っていない。25分立ちの漫談を終えると、座布団に座り、「初天神」芦田愛菜バージョンで沸かして15分。たっぷり40分の復帰高座は桂宮治ワールドの魅力満載で、とても幸せになれた。ありがとうございました!