【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】僕たちのアナザーサイド。4人がそれぞれに別の顔を見せてくれた。

らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開きました。(2022・02・06)

四人四様。それぞれ個性があって、芸風の違う若手の4人が競い合う勉強会も、8回目を迎えた。今回のテーマは「僕たちのアナザーサイド」。各々が普段とは違う顔、すなわち高座を見せてくれた。

ともすると、この手の企画は余興っぽくなってしまいがちだが、全くそのようなことはなく、真っ直ぐにテーマと向き合い、しっかりとした聴き応えのある高座を4人が披露してくれたのが嬉しかった。

三遊亭花金「四人癖」

相変わらず巧者である。大学時代に落語研究会に所属していたが、他のサークルにも興味があって、色々と覗いてみたというマクラも可笑しかった。ワンダーフォーゲル部、映画研究会、バンザイ同盟…。毎回思うのだが、花金さんは何気ないマクラがとても可笑しい。で、本編。普段はしっかり聴かせるタイプの花金さんが、オーバーアクションで四人の癖を表現しているのが楽しい。これは絶対、寄席ネタとして武器になるだろう。

三遊亭ぐんま「鰍沢」

実に本寸法。寒さ、情景、人物描写、実にきめ細やかだ。普段、高座はリングとばかりに暴れ回っているキャラクターとは正反対。実はぐんまさんは、小満ん師匠や雲助師匠に憧れて噺家になったので、古典落語へのリスペクトがめちゃくちゃある噺家さんだ。新作も独自の視点で創作されて面白いが、古典との二刀流でいけることを僕は確信した。らくごカフェのお客さんがシーンと聴き入っている様子が伝わってきた。

林家彦三「僕の影が君を選んだ」(作・ナツノカモ)

師匠の林家正雀カラーの強い自分とは別の顔を見せる一席を演じ、これがまた良い味を出していた。ナツノカモさんの作品は、前回に花金さんが「貧乏神の良心」を演じたが、これはいわゆる擬古典。だが、今回の作品は現代を舞台にしていて、それが新鮮だった。影という自分の分身のような存在がいて、その影が自分の本心、本音の部分で動き出したら…。ナツノカモさんの作品の素晴らしさは勿論だが、これに挑んだ彦三さんも素晴らしい。この手の高座をこれからも増やしてほしいと思った。

昔昔亭昇「大工調べ」

「僕は新作派だから、ただ古典を演ればいいと思っていたら、ぐんま兄さんが『鰍沢』で攻めてきたので、負けられない」と。与太郎の間抜けぶり、大家の因業ぶりも良く描けていたが、やっぱりこの噺の肝である棟梁の啖呵が素晴らしかった。啖呵がすべての噺ではないのは重々承知だが、啖呵に至るまでの大家と棟梁のやりとりから徐々にボルテージを上げていくところなどが良く演じられている。啖呵のための啖呵になっていないところ、拍手喝采。