【プロフェッショナル 新浪剛史】さらけ出して、熱く語れ(中)

NHK総合の録画で「プロフェッショナル 仕事の流儀 コンビニ・チェーン経営者 新浪剛史」を観ました。(2006年10月19日放送)

きのうのつづき

新浪は横浜出身。父は港で荷揚げをする会社を経営していた。ぶっきらぼうで、喧嘩早い作業員たちと父は毎晩のように酒を飲んでいた。少年時代の新浪は「格好悪い」と反発した。

大学を卒業し、三菱商事に入社。ハーバード大学に留学し、MBAを取得した。帰国後は勢いに乗って、34歳の若さで関連会社の社長に抜擢された。社員30人の小さな給食会社。トップダウンで全てを決めた。わずか5年で、年商10億から100億に急成長させ、周囲を驚かせた。

2年後、手腕を買われてローソンの経営を任された。ハーバードで身につけた経営理論で部下たちを圧倒し、すべてトップダウンで指示を出した。結果が出ないと、年上の役員を部下の面前で罵倒した。「俺の言う通りにやればいいんだ」。

独断。しかし、業績は下がり始めた。部下を怒鳴りつけた。社長になって3カ月。幹部を集めた会議の席で、信頼を寄せていたある役員が突然話し始めた。「相手の立場に立って考えてほしい」「新浪さんが言いにくい雰囲気を作っている」。衝撃を受けた。

新浪は自信を打ち砕かれた。社長を辞めようかと本気で悩んだ。そんなとき、反発していた父の姿が蘇ってきた。経営していた会社で、信頼を築こうと作業員の輪に加わり、毎晩のように酒を飲んでいた父。

新浪は自分の未熟さに気づいた。父の姿が教えてくれた。懐に飛び込まなければ、人は動かない。

新浪は現場に飛び出した。全国の店舗を回り、オーナーや店員から不平不満を聞きだした。部下たちには「君たちが考えろ」と繰り返した。すると、次第に社員から新商品の企画が出はじめた。

考えるのは社員の仕事。自分は熱い言葉で組織を鼓舞する。

それが新浪の流儀となった。

つづく