【プロフェッショナル 新浪剛史】さらけ出して、熱く語れ(上)

NHK総合の録画で「プロフェッショナル 仕事の流儀 コンビニ・チェーン経営者 新浪剛史」を観ました。(2006年10月19日放送)

15年前の放送である。この番組は、三菱商事から出向という形でローソンの社長となっていた新浪さんが、2003年に三菱商事を退職して、ローソンの経営に専任して格闘している時代のドキュメントである。このとき、新浪さんは47歳。その後、2014年にローソンのCEOを辞して、サントリーの社長に就任している。だが、新浪さんのマインドは今もきっと変わっていないだろうと感じた。(以下、敬称略)

新浪剛史、47歳。年商1兆4000億円、コンビニ業界2位のローソンで働く16万人を率いる男は、朝5時半に起床し、1時間走る。仕事のことを考えながら。そして、9時に大崎の本社に出勤。社長室は社員と同じフロアにあり、そのドアはいつも開け放たれている。

新浪は朱色の筆ペンで回ってきた書類に指示を書く。社員との意思疎通を大事にする新浪は、少しでも自分の感情を伝えたいと手書きにこだわっている。

三菱商事から34歳で小さな給食会社の社長に就任した新浪は、5年間で売り上げを10倍にした。その手腕を買われ、5年前にこのローソンを率いることになった。

働く女性のことを考えた店舗、生鮮食料品を売る店舗…様々な挑戦をしてきた。コンビニ業界の異端児と呼ばれる新浪のモットーは「考えるのは、社員」。何事もトップダウンという意識を改革した。指示待ち体質を変えた。慮ることを嫌がる。

現場と直接話すことを旨とする。年末に向けた自社開発商品を見た。新しさがないと言った。これでも売り出すのか、あとは社員で考えさせる。

新浪が語る。

考えて考えて考えて、なぜって判って行動するのと、言われたからやるのとでは生産性が全然違う。納得感が全然違う。仮に最初は納得していなくても、考えれば考えるほど、そうだなと思ってもらえる。そのプロセスは急がば回れだ。

新浪が改革を急いでいるのには理由がある。全国の加盟店、特に地方の売り上げが目立って落ちている。

フランチャイズ制を採るコンビニエンスチェーンは、本部と加盟店は別経営である。本部は加盟店に品物を卸す。基本的にはたとえ売れなくても卸した額のある割合が本部に納められる。これまで本部は新規店舗を増やすことで売り上げを伸ばしてきた。

しかし、同じ地域にコンビニが乱立して競争が激化。経営は年を追うごとに苦しくなっている。本部と加盟店が共存共栄できる根本的な改革を、一刻も早く行わなければならない。

そのための新たな試みをおこなった。加盟店のオーナーから直接話を聞くことだ。かつては有り得なかった対話を半年に1回定期的におこなっている。求めるのは現場の本音だ。

本部に対する不信感にひたすら耳を傾ける。新浪の信念がここにある。批判なくして、前進なし。批判の中には改革のヒントがある。この日、2時間、現場の厳しい声に耳を傾け続けた。

つづく