弁財亭和泉「匿名主婦只野人子」もてはやされる“丁寧な暮らし”へのアンチテーゼに諧謔精神を見た

らくごカフェで「弁財亭和泉の“新”新作びゅーびゅー」を観ました。(2021・10・06)

先日の「せめ達磨」でネタおろししたという「匿名主婦只野人子」が抜群に面白かった。

某ライフスタイル雑誌が提唱するような「丁寧な暮らし」をしてみたいと、主婦は誰もが憧れる。だけど、その暮らしというのは本当に皆、工夫と努力をすれば実現できるのか?はたまた、そんな工夫と努力をする必要があるのか?というアンチテーゼと受け取れる秀逸な一席だった。

只野人子は強い意志を持った、主婦である。「そんなドラマに出てくるようなお洒落な暮らし」をしようとすることに何の意味があるのか。そんな彼女に、「弟子にしてください」と懇願してきたA子に理屈でなく実践で説いているのが良い。

A子はスーパーで20%引きのお惣菜を買おうとするが、なぜ半額まで待てないのかと言う。待って、もし売り切れてしまったお惣菜と別れた男は同じ。諦めが肝心だと。

行列のできるラーメン屋で人気メニューをなぜ選んでしまうのかと諭す。皆が選ぶメニューではないメニューに、美味しい発見があるかもしれないかもしれない。

いつも部屋を綺麗にしていたい気持ちは分かるが、主婦にも時間に限りがある。心に余裕を持ちなさい。必死になって掃除、洗濯、炊事をこなしてスーパー主婦になる必要があるのか。

そんな和泉師匠のメッセ―ジが、「主婦あるある」の笑いを散りばめられながら、伝わってくる高座だった。SNSとかでもてはやされている「丁寧な暮らし」に振り回されて、本当の暮らしの醍醐味を失っちゃいませんか?ということなのかもしれない。

三席目で「落語の仮面」第8話、「高座への螺旋階段」をたっぷり。一回聴いたきりでまるで忘れていたので、とても新鮮に聴けた。へぇー、こんな展開だったのか。いつか近いうちに、全10話を定期的に披露する会を企画したいとおっしゃっていたので、それもまた楽しみである。