古今亭駒治「生徒の作文 野球編」「黄昏の神宮」熱狂的なヤクルトファンの新作噺が面白い!

道楽亭ネット寄席で「古今亭駒治 新作噺の会」を観ました。(2021・10・04)

駒治師匠はプロ野球の熱狂的なヤクルトスワローズファンだ。現在、セ・リーグのペナントレースで首位を走る。優勝目前だ。どちらかというと弱小チームという印象の強いヤクルトが巨人を引き離して首位になっているのは僕も嬉しいが、駒治師匠はヤクルトファンを続けていたことを心の底から喜んでいることだろう。ということで、そのヤクルトを絡めた野球ネタを4席中2席演じてくれたのは良かった。

一席目の「生徒の作文 野球編」はいつもの「生徒の作文」を野球ネタでアレンジしたもの。少年野球チームに所属していたナカタ君が、チームを移籍した顛末を書いた作文は皮肉が利いていて面白かった。詳しく書けませんが。

あと、初恋をした女の子を「恋の山手線」風に、野球チームや選手の名前を織り込んで七五調で謳いあげる作文は完成度が高くて、さすが駒治師匠!と手を叩いてしまった。現代の「痴楽綴り方狂室」だ。

三席目の「黄昏の神宮」も秀逸だった。長年、ヤクルトを応援して神宮球場に通う老人二人。設定は2021年に優勝したきり、40年間最下位続きという未来モノだ。

野球観戦には欠かせないビール。この噺には、ビールを売り続けて60年というマキちゃんと呼ばれる人気ビアガール、いやお婆さんが登場するのにも笑った。ヤクルトファンと一緒に緑のビニール傘で踊る人気キャラクター、ツバクロウも85歳というのも可笑しい。

駒治師匠はノスタルジーの世界を描くのが実に上手い。これは野球ネタに限らず言えることで、甘酸っぱい青春の味がする。そんな駒治落語をこれからもどんどん作ってほしいと思った。

二席目の「ママテツ」・・・子どもが鉄道マニアになると、影響を受けて母親も鉄道マニアになることをママテツというらしい。初めて知った。このママテツを題材にした新作も、鉄道落語の駒治師匠の真骨頂で楽しかったことを付け加えておきたい。