【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】個性が異なる、四人四様の“ゾッとする噺”
らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開きました。(2021・08・20)
去年10月から隔月でスタートしたこの勉強会も、2月に緊急事態宣言の影響で休止にしたが、4月かららくごカフェに会場を変えて、5回目の開催となった。去年のほぼ同時期に二ツ目に昇進した4人の固定メンバーによる勉強会だが、毎回テーマを決めて取り組んでいる。そのテーマを決めるのもメンバー同士の話し合いで、今回は「ゾッとする噺」。怪談噺とまではいかないけれど、世の中にちょっと背筋が寒くなる噺ってあるよね、ということで、古典、新作限らず「ゾッとする噺」を展開、お客様も毎回来て頂いている方もいて、回を重ねるごとに客席が盛り上がっているのが嬉しい。
次回は10月8日(金)開催、テーマは「〇〇の秋!」です。
林家彦三「一眼国」
香具師が六十六部に根掘り葉掘り、珍しい話を引き出そうとするも、正直者の六部の口からは何も出てこない様子が実直な彦三さんとオーバーラップした。香具師に出された冷や飯を梅干しをおかずに食べていたら、「一ツ目」に出会ったことを思い出した!というのが面白かった。香具師が大勢の一ツ目に取り囲まれたときの恐ろしさを、もっと増幅して表現すると噺が引き立つと思った。
三遊亭ぐんま「うしみつであそぼ」
クルマを夜中に運転していたら、なぜか謎の遊園地に辿り着いてしまった。そこには、かつて廃園となった全国の遊園地の遊具が集まって、「幽園地」と化していた…。某テーマパークを軽く風刺しながら、全身を使って笑いを取りに来るところがぐんまさんらしく、元気のある高座だった。
三遊亭花金「安兵衛狐」
幽霊を女房にした「偏屈の源兵衛」と、狐を女房にした「愚図の安兵衛」の名コンビ。落語の持つ面白さの芯をしっかりと捉えて、きっちりと表現できる巧さがある。口跡も鮮やかで、声も良く、安定感もあって、とても良い高座だった。
昔昔亭昇「にごった金魚鉢」
主人公が彼女の誤解を消そうとするのに、逆に次々と災難が降りかかってきて、あたふたする前半部分は昇さんのパワーとスピードを感じて爆笑の渦。後半に謎の金魚すくい屋が登場してからは、張った伏線を回収しながら噺に不気味さが増していって、最後はゾッとする展開に、新作の才能を感じた。