【プロフェッショナル 吉永小百合SP】私はプロではない。いつまでもアマチュアでありたい(5)

NHK総合の録画で「プロフェッショナル仕事の流儀 吉永小百合SP」を観ました。(2019年10月26日放送)

きのうのつづき

撮影終盤。吉永の体力は限界に達しつつあった。同じ芝居を何度も繰り返す撮影手法に消耗していた。でも、全力で挑む。自らの進退を賭けているかのようだった。だが、けして疲れたそぶりは見せない。

疲れたっていうのは、絶対言わないことにしている。疲れたって言うと本当に疲れちゃう。スタッフはもっと疲れていると思うし。

映画のクライマックスになる撮影に臨む。がんが進行し、死期が迫る北原幸枝。命尽きようとする中、ひきこもりの息子と向き合うシーンだ。親しいスタッフも近寄れないほど、人を遠ざけるオーラが出ている。「ずっと食べていないですよ」とあるスタッフは言った。命を削るように役を演じる。

吉永が語る。

今日を生きるということ。今日を精いっぱい生きれば、それが明日につながる。一日一日、自分のできることを精いっぱいやっていくことが明日につながる。その日を精いっぱい生きる、と思っています。道遥かです。まだまだ。(なぜ、そう思われるのですか?)そうですね。やっぱり、そうなんですよ。

最後のスターはあくまで前を向いて、謙虚だ。

撮影がオールアップした。吉永は北原幸枝の生まれ故郷の長崎・福江島を訪れた。

すごく不器用だから、ひとつの役をやると、ぱっと次に移ることができないんですね。自分が演じて、どうだったんだろうって思いながら、少しずつ離れていく感じ。まだまだ、まだまだ、中ですよね。幸枝さんの中にいる感じで。今年いっぱいぐらいはそうですね。そんなに早くいなくなる人ではない。

映画の編集も終わり、試写を見た吉永。まだ、この先のことは何も考えていない。だが、その眼差しは明日を向いていた。

吉永に「プロフェッショナルとは?」とディレクターが問う。

兎に角、映画が好きで、この世界をずっとやってきました。それがプロフェッショナルかどうかは自分ではわからないですね。残した作品で、きっとあとの人たちが決めてくれるのかもしれない、プロフェッショナルかどうか。これからも皆さんに観て頂ける作品に出られるように、しっかりやりたい。

それは表面的には「プロフェッショナルとは?」の答えになっていない。だが、その続きの答えで、納得がいった。

これで私はプロフェッショナルだ、満足だって思っちゃうと、そこで終わってしまうのかな。私の中ではそういう気持ちがあるんですね。プロフェッショナルを求めて、これからもまた歩いて行こうと思っています。

吉永小百合の登る山に頂上はないということだろう。とりわけ「満足だと思っちゃうと、そこで終わっちゃう」という言葉が耳に残った。そうなのだ。どんな仕事でも、「これは100点満点」なんて思うことはないはずだ。さらに加点できる可能性を追い求めるのがプロフェッショナルではないか。吉永さんは単純に謙虚さゆえに発言しているのではないと確信した。「私はプロではない。いつまでもアマチュアでありたい」。僕も心に刻みたい。

おわり