【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】四人四様の個性がぶつかった“春の噺特集”、程良い距離感が堪らなくいい。

らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開きました。(2021・04・08)

4か月ぶりの開催だった。去年に二ツ目に昇進した落語協会2人、落語芸術協会2人による定期的な勉強会を開こうということになり、10月と12月のお江戸両国亭で2度開催。今年からはらくごカフェに会場を移し、2月10日が第3回の予定だったが、緊急事態宣言により、この日に延期になったのだった。隔月、つまり偶数月に開催するので、次回は6月11日(金)だ。

これまで3回やって感じるのは、落語というのは噺家さんの個性が大切だなあ、ということだ。ネタを増やすにしろ、稽古で磨くにしろ、その個性を自分でわかって、取り組むことが肝要だなあと思う。幸い、この4人のメンバーは本当に四人四様というか、キャラクターがそれぞれに違って面白い。あまりベタベタと仲が良すぎるのよりも、程よい距離感を保って、お互いに刺激を受けながら勉強していく。主催者としても、とても勉強になっている。

林家彦三(諸事情により演目非公表)

当初、春の噺特集ということで、「初音の鼓」をネタ出ししていたが、急遽変更。桜にちなんだ、大岡裁きの創作落語を披露した。歌舞伎の「熊谷陣屋」に出てくる「一枝を切らば、一指を切るべし」に引っ掛けた良くできた創作だと思った。ただ、彦三さん自身の創作ではないために、まだ自分の肚に落ちていない印象はあって、何度も高座にかけて、磨きをかければ、どんどん面白くなるに違いないと思った。彦三さんのニンにあった噺だと思った。

昔昔亭昇「桜満開」

中学時代の同窓会が開かれ、花見をすることになるのだが、当時からライバルとして競い合っていたAとBが社会人になっても何かと対決したがるという設定の昇さん創作の落語。何かと相手に文句をつける間柄なのに、高校、大学、そして会社まで同じという、実はこの2人は気が合うのではないか?と思わせるのがミソの作品かなと思った。ワイワイガヤガヤ系の噺だし、対決の種類がいくつもあるから伸縮自在、寄席の15分高座でかけられるようにしたいと本人も言っていた。特に、ラップ対決は面白かった。

三遊亭花金「花見酒」

この人は「いぶし銀」の魅力がある噺家だ。ネタおろしだったそうだが、まるでそうは聴こえない。天性の落語の上手さがあるのだと思う。釣銭用に用意した10銭をやったりとったりするうちに、3升の樽の酒を2人で空けてしまって商売にならなくなってしまうというトリックは、「壺算」にも似て、聴き手を煙に巻く技量が必要だ。花金さんは段々と酔っ払っていく2人が、そのトリックに気づかないどころか、これは良い手だとグイグイと美味そうに酒を飲んでいく様子が実に気持ち良い。聴いているこちらまで気持ち良くなる。

三遊亭ぐんま「野ざらし」

噺家になる前はバンドを組んでボーカルをやっていたというだけあって、♪鐘がゴンと鳴りゃぁさぁ~など八五郎が骨を釣りにやってきたときの鼻唄が、実に気持ち良く聞こえる。だいたい、屍を釣って供養して、綺麗な女性の幽霊にもてたいと考える八五郎のクレージーがこの噺の芯だと思うが、そのクレージーを実によく表現している。ぐんまさんの真骨頂は、習った古典に入れ事はほとんどせず、ほぼ忠実に演じながらも、なぜか「ぐんまカラー」が出ていて、新鮮なことである。新作派と見られがちだが、古典でこそ、その力を発揮している。古典に対するリスペクトを感じる。だから、新作も古典も面白いのかもしれない。