玉川太福「青龍刀権次 爆烈お玉」間抜けな悪党・権次は憎めないどころか、愛おしい。頑張れ、権次!

木馬亭で「日本浪曲協会 3月定席」を観ました。(2021・03・05)

玉川太福さんで「青龍刀権次」の第三話、「爆烈お玉」を聴きました。第一話の「発端」、第二話の「偽札」でもそうなんだけれども、権次の憎めないどころか、愛くるしいキャラクターが何とも魅力的で、「金縁メガネで髭の男」に何度も翻弄される様子は、「どーして?そこまでドジなの?」と思ってしまう。それがこの連続物の愉しさなのかもしれない。ちなみに、第三話は「爆烈お玉」というタイトルが付いているけれども、お玉が出てくるのは最後のホンのちょっと。それもまた連続物の面白さかも。

金縁メガネの髭の男から貰った10円札で飲食したら、警察に捕まってしまった権次。あの男のせいで、してもいない芸者殺しの一味と間違えられて7年間も牢獄に入っていた権次にとっては二度目の災難だ。牢にいるうちに時代は江戸から明治に変わっていたので、ビックリ!というのも可笑しい。

7年の恨みを晴らそうと、偶然会った「銀縁メガネの髭の男」に訴えたら、20円の煙草銭を渡され、あとは権次が皿洗いをして働いている向島の八百松に「3000円届けるから」と煙に巻かれて、またまた名前も所も聞くのを忘れて逃がしてしまうのは権次の人の良さだろう。その煙草銭が偽札だったわけで、警察にいくら訴えても、「名前も所も知らない男から貰った」では言い逃れができない。今度は5年の服役だ。なんとも哀れな権次である。

そして、市谷監獄での5年の生活も終わって娑婆に出た権次。須田町の四つ角を歩いていると、またも偶然、「銀縁メガネの髭の男」が馬車に乗っているのに出くわす。今度ばかりは逃がすまい。神保町を追いかける。すると、馬車は大きな屋敷へ入る。門番に「今、馬車で入った男に会いたい」と頼むが、悲しいかな、その男の名前がわからない。でも、何とか熱意が通じて「日本一の大馬鹿野郎」に会う算段はついた。

通された広間。脅かしてやろうと意気込むも、2時間待たされた。ようやく会えた「銀縁メガネの髭の男」は、「今度こそ通用金だ」と札束を握らせる。権次も二度と同じ罠にはハマりたくないから用心する。「好きなだけ持っていけ」と言われ、迷う権次。その場に見目麗しい女性が現れた。その女はなんとピストルを持って、こちらに突きつけてきた。さあ、どうする、権次!?というところで、「ちょうど時間となりましたあ」。

ピストルを突きつけた女が「爆烈お玉」というらしいが、それは第四話「血染めのハンカチ」で明かされる。ああ、連続モノの悲しさと愉しさよ!いつか出会える日を楽しみにしている。