【渋谷らくご 2月興行】コロナ禍から1年。すっかり配信で落語を観る習慣が身についた(下)

配信で「渋谷らくご 2月興行」を観ました。(2021・02・14~16)

2月14日(日)14時

「壺算」春風亭昇也「夢の酒」立川談修「金明竹」隅田川馬石「天災」古今亭文菊

昇也さん、宮治真打昇進パーティーでの失態。死んだ祖父さんが50銭足りないばっかりに最期に好きな酒を飲めなかった…毎晩成仏せずに出てくるエピソードで3円50銭を3円に。談修師匠、シブラク初お目見得。淡島様の歌。われたのむ 人の悩みのなごめずば 世にあはしまの神といはれじ。

馬石師匠、滑稽噺も面白い。「松っちゃん、二人で思い出そう」と言うおばさんが可愛い。おばさんもクルクルするから、松っちゃんもクルクルして!指をコメカミに当てて二人でクルクルする姿が可笑しいの。

文菊師匠、天災を心得た八五郎がいい。「なんか、オレ、わかったよ。お前さんみたいに筋道をつけて話してくれればわかるんだ」。気に入らぬ風もあろうに柳かな、蛙は柳が大好きで、南から飛んでくるくる渡り鳥、今度は皆で何処へいく。

2月14日(日)17時

「地下鉄戦国絵巻」古今亭駒治「黄金餅」立川志ら乃「お見立て」柳家小八「男はつらいよ 寅次郎夕焼け小焼け」玉川太福

駒治師匠、ついに地下鉄版!都営三田線が東京メトロに寝返った。そこは南北線と白金高輪で合流し東急目黒線に乗り入れるから、わかる!日暮里舎人ライナーも東京都交通局の管轄なのか。

志ら乃師匠、道中付けきっかり。西念が遺した金に金兵衛だけでなく貧乏長屋の連中が狙っている様子が出るともっと良い。小八師匠、喜瀬川と杢兵衛大尽の間を右往左往する喜助の人間味がもっと出ると良い。

太福さん、第17作(1976公開)。200万円をめぐっての、寅さんの一所懸命さに芸者ぼたんは惚れたんだろうなあ。金のために絵を描くのではない、という絵描きは「抜け雀」を思わせて面白い。

2月15日(月)18時

「鼻ほしい」「リアクションの家元」春風亭百栄「妾馬」蜃気楼龍玉

百栄師匠、エアロビクス。吉原のおみやげ、鼻がかけた人を三三師匠は見たことがあるんだって。Father kiss mom you&me!家元のサブマシンガン、AK47カラシニコフ。死んじゃうよ!

龍玉師匠、普通に演って沁みる。俺の妹の亭主が殿様だ。してみると、俺は義理の兄貴だ。何が無礼だ。本来なら、そっちが手をついて、お兄様と挨拶するのが筋だろう!と啖呵は切る八五郎だが、母親思い。「初孫だというのに赤ん坊を抱けない。身分の違いは情けない」と言っていたよ。たまには家に帰ってこいよ、お鶴!なんなら、ここに糞ババアを連れてこようか?見ての通りのガサツ者ですが、妹をよろしく頼みます。ちゃんと筋を通す八五郎、カッコイイ。

2月15日(月)20時

「明烏」春風亭一花「夢金」柳亭市童「将棋の殿様」入船亭扇里「いまじん」瀧川鯉八

一花さん、生きた学問。うぶで可愛い若旦那が似合う。畳にのの字。二宮金次郎という人は。市童さん、ケチと欲張りは違う。魚心あれば水心、阿弥陀も金で光る世の中。鷺を烏と言うたが無理か、場合にゃ亭主を兄と言う。

扇里師匠、珍品。わがまま放題の殿様に困惑の家臣。そこを田中三太夫が駒を戦力に喩え、意見するところあっぱれ。鯉八師匠、夢見る下級武士ごっこ。青十郎、黄十郎、赤十郎の会話になかなかついていけない。

2月16日(火)18時

「三方一両損」古今亭志ん五「雛鍔」橘家圓太郎

志ん五師匠、ピラニア釣り。この中に糞を垂れない大家がいるか。大岡越前守をエっちゃんと呼ぶフレンドリーな職人の吉五郎と金太郎が愉快。

圓太郎師匠、森さんはきのうきょうはじまったバカじゃない。旦那に出す羊羹の切り方から皿ののせ方まで、女房に細かく指図する亭主が可笑しい。