【渋谷らくご 2月興行】コロナ禍から1年。すっかり配信で落語を観る習慣が身についた(上)

配信で「渋谷らくご 2月興行」を観ました。(2021・02・12&13)

2月12日(金)18時

「蔵前駕籠」柳亭小痴楽「ベタ刑事」林家きく麿

小痴楽師匠、女郎買いの決死隊。むこうに行ったら温め手はいくらでもいるんだい!駕籠の中を見たら、褌一丁の男が胡坐をかいて乗っているのだから、追い剥ぎもさぞ驚いたのだろなあ。

きく麿師匠、人生変えちゃう夏かもねby西田ひかる。シュールとは?玉子サンドの中の玉子が鶏に変身したら、これはシュールなのか?ナンセンスなのか?はたまたファンタジーなのか?

2月12日(金)20時

「武助馬」立川寸志「猫の災難」柳家勧之助「ぞおん」立川吉笑「たちきり」古今亭菊之丞

寸志さん、狸の狸。猪、鼠、牛、馬。役が干支で繋がった!馬の足を観に総見というのも乙。勧之助師匠、酒飲みの了見。もうちょっとだけ…と、お毒見を何度もしちゃう意地汚さがもう少しあれば。

吉笑さん、末広亭定席初体験。集中の極致の番頭さん=ぞおんに入る発想最高。その入り方にも工夫があるというも最高。菊之丞師匠、キャバクラ嫌い。あっさり演じるのが美学か。くさく演じるのも僕は好きなのだが。

2月13日(土)14時

「浮世床~将棋」三遊亭好二郎「阿武松」立川談吉「六尺棒」快楽亭ブラック「御神酒徳利」柳家小せん

好二郎さん、ナチュラルローソン。煙管の悪戯つきの将棋パート面白い。ブラック師匠、森喜朗は鮫の脳みそ。商人の家は10時限りと願います。

談吉さん、櫓太鼓。一つ打つのがものの始まり。二つ打ちます、阿吽の呼吸。三つ打つのが天地人。四つ打ちます、東西南北。五つ打つのが御用の太鼓。六つ打つのが六方世界。七つ打ちます、南無妙法蓮華経、貧民の太鼓。八つ打ったか、やけっぱち。

小せん師匠、東海道五十三次。京の名所の数を見て、またも大津や草津に西部、アイの土山、雨となり、鈴鹿を越えて亀山宿。ひいふうみっつ四日市。いつか桑名に船漕いで、赤坂五井は昼の月。中も吉田や白須の荒井。願いも掛川、金谷の宿。鬢のほつれも島田を越えて、ここは名高き沼津の里。富士見、白酒、名物をひとつ召せ召せ駕籠に召せ。箱根越えれば小田原大磯大井保土ヶ谷神奈川と。

2月13日(土)17時

「誰にでも青春~番外編」春風亭昇々「湯水の行水」田辺いちか「道灌」橘家文蔵「景清」立川笑二

昇々さん、独自の世界。菜の花学園のシバタとアダチの関係性がわからない。いちかさん、男前。鳥居と成瀬の武士としての矜持。三方ヶ原の戦場に咲いて散ったる、一風変わった男と男の友情物語が沁みる。

文蔵師匠、菊花賞なら去年獲った。パーフェクトな「道灌」を久しぶりに聴いて、良いなあ、と。雨具の四天王。合羽、唐傘、蓑、足駄。貝の四天王。しじみ、はまぐり、ばか、はしら。ねえちゃん、いいケツしてんのう(笑)。

笑二さん、名演。木彫り師として名人だった定次郎が「自惚れている」と言われ、仕事が億劫になり、目が見えなくなったことを「うれしかった」という心境。でも、見えなくなってから、「やっぱり木彫りがしたくなった」という人間の心の複雑さ。石田の旦那の「彫りたいものを彫ればいい。見えるようになったら、私に観音様を彫っておくれ」と定次郎を励ます優しさ。感動した。

2月13日(土)20時

「小食生活」「たけのこ」柳家緑太

緑太さん、凝り性。緊急事態宣言で仕事もないし、ステイホームでカレー料理を研究。妹に三つ子が産まれ、時間のある兄として育児を手伝い。育休状態というおしゃべりが面白かった。