【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】個性の異なる4人が火花を散らす!チャレンジ精神旺盛に切磋琢磨する姿に共鳴。

お江戸両国亭で「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」第2回を開催しました。(2020・12.21)

今年、二ツ目に昇進したばかりの落語協会2人と落語芸術協会2人の4人の固定メンバーによる隔月の勉強会。10月にスタートして第2回だ。第1回のときに初めて4人が顔を合わせ、その以来という「久しぶりの会った従兄弟みたい」な関係で、これからぼちぼち親睦を深めていって、その日のネタのテーマを決めたり、リレーで大ネタを演ったりしていこうと話している彼らである。

オープニングトークでは、年末年始の過ごし方について各々が喋った。彦三さんは、正雀師匠の家で稲荷町(大師匠・八代目正蔵)から伝わる「牛めし」を暮れに作って食べるのが恒例。油まみれになって、牛すじを刻んで煮込むとか。花金さんは師匠・笑遊のお宅に弟子4人が年末に集まる。去年はタコまるごと一匹を買ってきて、「お前らでさばけ」と命が下って奮戦したとか。

ぐんまさんは「基本、師匠・白鳥のお宅には行かない」ことになっているそう。最近、三番目の弟子が入門したので、師匠に「お正月はどうしましょうか」と伺ったところ、「いつもと変わらず」年始の挨拶訪問は抜きに。昇さんは一番下の弟子だから年末年始問わず、師匠・桃太郎宅へ行く。12月29日~31日の三日間で師匠のお宅の正月の準備をしなければいけないので、いつもバタバタするとのこと。ただ、こうしたコロナ状況なので、一門の集合はなくなったそう。

4人全員、二ツ目として迎える初めてのお正月なので、前座さんやお囃子さんに渡すお年玉を用意しなくてはならなくなった。もらう側から渡す側へ。ぐんまさん、「私たちもやってもらっていたことなので、喜んで渡したい」と。これも寄席芸人の伝承のうちですものね!

堀の内/三遊亭花金

大師匠・四代目圓遊が得意としたネタを。入門志願をしたときに、金遊師匠に「落語を喋った経験がある(早稲田大学落語研究会)なら、何か録音してもってきなさい」と言われ、「つる」を録音してCDに焼いて師匠に送ったら、「何も音が入っていないよ」と言われ、CDの焼き方から師匠に教わったという粗忽エピソードを披露して本題へ。八五郎の粗忽っぷりが何とも軽妙で、笑うだけじゃなく、聴いていて気持ちがよくなる高座。リズムがあるというのだろうか。楽しみだ。

勝利の老婆/三遊亭ぐんま

群馬に住むばあちゃんに和菓子のプレゼントをしたエピソードをマクラに振ったら、段々とヒートアップして、予定していた「お見立て」を急遽変更して、新作を。それも群馬のばあちゃんをモチーフにした新作はぐんまさんらしい勢いがある。両親共稼ぎで運動会に参加できないかわりに、ばあちゃんが参戦して、騎馬戦やパン食い競争を制し、クラスを優勝に導くという。こういうパワフルな高座を聴くと元気になれる!

きみにあいたくて/昔昔亭昇

ぐんまさんに刺激を受けたのか、「やかんなめ」を演ろうとしていた昇さんも新作にギアチェンジ。32歳、男子、年収3億のユキオはいまだにクリスマスになるとサンタクロースがやってくるのを楽しみにしているという噺。「もう、いいかげん大人だからプレゼントも要らないでしょう」とサンタから別れを告げられたユキオ。「じゃあ、せめて手紙を書きたい」というユキオの台詞で、サンタの気持ちが急変し…。爆笑だけど、ハートフルな高座、いいね!

新版見世物小屋/林家彦三

寄席芸人列伝という独特な味わいをもった噺。皿回しの芸人、一柳斎柳一。上から読んでも、下から読んでもイチリュウサイリュウイチ。知らないことはないという博学ぶりもさることながら、楽屋で他の芸人に蘊蓄を話し出したら止まらないという人物像が目に浮かぶ。彼のもう一つの芸だった「記憶術」にまつわるエピソードが何とも愛くるしい。晩年まで頭脳明晰を誇った柳一先生のどこか温くてジーンとなる生涯に思いを馳せた。噺にもう少しメリハリをつけると、もっと良くなると思った。

個性の違う4人が火花を散らし、切磋琢磨する。そういう研鑽の場として「やっちゃう?!」は今後も隔月で開催します。来年は神保町のらくごカフェに会場を移しての開催です。ご期待ください。