柳家三三の決断 噺家としての「幹」を途切らさずに、どう届けるか

YouTube「三三のおすそわけ」で「五月も毎週厳選一席」を観ました。(2020・05・15&21&28)

2月14日の「月例三三独演」@イイノホールを観て以来、コロナ禍によって毎月開催されていた、この三三師匠の定例勉強会が途絶えてしまいました。師匠が「私の幹」と呼んでいる会。このブログでは、4月4日に「月例三三独演の15年」を振り返り、4月19日に「月例三三独演」で6カ月連続で取り組んだ「嶋衛沖白浪」について書きました。3月中旬以降、三三師匠もYouTubeを通して、落語をライブ配信することで、これまでとは違う取り組みを積極的にしてきました。

しかしながら、5月28日の配信の終わりで、師匠は次のステップに入ることを表明しました。以下、その内容です。

3月、4月、5月、それこそ会場の都合で、私が毎月、東京・霞が関のイイノホールでやっております「月例三三独演」という勉強会が開けなくなりまして、こうやってライブ配信でお目にかかるというようなことを繰り返してみたんでございます。けれども、6月もやはり会場の都合だの、世間の様々な状況を鑑みて、やはり開催できないという状況になりました。6月の「月例三三独演」も会場ではお目にかかることができないと。何とかですね、「月例三三独演」という会は毎月お客様にお届けしたいということでございまして。それにつきまして、6月から有料でのライブ配信というのをさせて頂くことになりました。つまりは、「月例三三独演」で私が高座でおしゃべりするんですけれども、それをご覧頂くのに、チケットを求めて頂くのと同じようにご覧いただくということになります。それで皆さんにお楽しみ頂くということでございます。

「月例三三独演」を有料でライブ配信ということにさせて頂きます。6月は12日金曜日、7月も16日木曜日、この2回、まずはご報告させていただきます。6月の詳細発表および発売は3日に予定させていただきます。これが三三のホームページ、またはツイッター、フェイスブックなどで情報など発信させて頂きますので、どうぞ覗いてみてください。

これまで、3、4、5月というのは、それこそ、なるべくお仕事を控えて、お宅においでになって過ごしてくださいという期間が続きました。それが、この度、段々そういう活動を再開しましょうということになりました。私も、何か楽しみの足しになればと思って、おしゃべりをさせていただきました。これから先、まだ暫く、高座に上がり、客席でお目にかかるということができない状況なものですから、どういう形で、この私の活動の幹であります「月例三三独演」をお届けするか。毎月途切れずに皆さんにお届けしたいということを一番に考えた結果、こういう有料のライブ配信ということにさせて頂きました。

もちろん、私も、世の中全体が初めて体験する事態でございますから、すべてが万事、滞りなく進むとは思いません。色々と不手際もある、お客様にご迷惑をおかけすることもあるやもしれませんが、その中でも、最善を尽くすためには、どうしたらよかろう、それを考えた結果でございます。どうぞ一つ、ご承知おきいただきまして、是非に6月12日午後7時、19時からのライブ配信、是非ともご覧頂ければ幸いでございます。どうぞ、末永く、ご贔屓、お引き立てのほfど、一重にお願い申し上げる次第でございます。

以上です。

新型コロナウイルス感染拡大防止が叫ばれてからの、柳家三三師匠の配信の活動は以下の通り。

3月13日「加賀の千代」「花見の仇討」 ゲスト:吉笑「舌打たず」/太鼓とお囃子(月例三三独演代替、イイノホールから)

3月31日「道灌」「粗忽の釘」(年度末総決算ライブ)

4月9日「五貫裁き」16日「茶の湯」23日「風呂敷」30日「看板のピン」「橋場の雪」(四月は四週連続木曜日)

5月5日「人形買い」「元犬」(こどもの日もおうちで落語)

5月7日「締め込み」15日「明烏」21日「星野屋」28日「ろくろ首」(五月も毎週厳選一席)

柳家三三は子どもの頃から落語が大好きで、中学を卒業する前に、小三治師匠に入門志願し、「高校を卒業してから、また来なさい」と言われ、3年後にやっぱり、小三治師匠の門を叩いたという。その情熱は今も絶えることがない。

「東京かわら版」2019年1月号「今月のインタビュー 柳家三三 落語は楽しいもの」から抜粋して、締めくくりたい。

一番最初聴いたのは「文違い」っていうので間違いないけど、いつの誰のなのかがよく分かんない。「女が男騙して金とってるなあ。こっからも騙してるなあ」って。(中略)歳は小学校1年生くらいだったと思うんだよね。

―小1!?

うん。落語って単純じゃん。演劇だったらすごい人数出てきて話の筋も複雑。でも落語は一人が演じ分けてはいるものの三人とか多くて五、六人でしょう。それぐらいだったからちょうど楽しかったんじゃないですか。(中略)

―小学生の頃のご自分が聴いたら、今の“柳家三三”は好きな噺家になりますでしょうか。

それは考えたことあります。うん、それ目標。子供の頃、落語を好きになった自分が喜ぶ。面白いと思う落語ができたら良いなっていうのは目標の一つになりますね。そんな風な落語ができた時に、「楽しかったね」ってヘラヘラ笑ってご飯食べて帰る、そんな感じが平成最後と次の元号の目標です。以上、抜粋。

「永遠の落語少年」柳家三三。

最後に、もう一度、告知です。あす、6月3日に今後の「月例三三独演」の詳細が発表され、発売がされます。コロナはそう簡単に完全なる収束はしない。その意味において、三三師匠の決断が注目されます。