【現在「わさびのチューブ」配信中】月例三題噺と紙人形芝居 柳家わさびが新しい落語を作る

ネット配信で「月刊少年ワサビ132号」を観た(2020・03・30)

柳家わさび師匠が、らくごカフェで毎月、勉強会をスタートさせて、ちょうど11年になった。去年9月に真打昇進しても、キャパ50の「らくごカフェ」へのこだわりに師匠のこの勉強会への熱い思いが伝わってくる。

新型コロナウイルス感染拡大防止のためのイベント自粛要請にどう対応するか。前回2月27日の131号は、アルコール除菌、体温測定、マスク着用義務を徹底させることで、開催した。だが、事態はますます悪化し、自粛要請も強固になった。そこで師匠が考えたのが、ネット生配信である。3月30日にらくごカフェで開催を予定していた会は中止としたが、その日の夜20時からYouTubeで、2月に客席からもらったお題で作った三題噺を、自宅に機材を用意し、入念なシステムのチェックをした上で実施した。お見事だった!「凱旋」「二重人格」「思い込み」の三つのお題。これで「四畳半王者」という新作落語を作り、披露した。

※「月刊少年ワサビ132号」の「四畳半王者」本編と、その制作過程や振り返り「ひそかに三題噺をつくっているようす」①~④が現在、YouTube「わさびのチューブ」で配信中。また、「月刊少年ワサビの紙人形芝居」という新しい試みもはじめ、「BARぶらり」「マジ本尊」「AMAYADORI」「イケ患」「キー坊」の5席、さらにその作品を振り返る「第1回紙俳優アワード」もYouTube「わさびのチューブ」で配信中。

※また、4月27日に予定されていた「月刊少年ワサビ133号」は、らくごカフェでの開催は休止になりました。YouTubeでのナマ配信となります。三題噺のお題は「春キャベツ」「ざわざわ」「テレワーク」。さて、どんな新作落語が生まれるのか?

どちらも、ご興味ある方は「柳家わさび」Twitterアカウントをフォローすれば、最新情報を入手、楽しむことができます。

「四畳半王者」、細かいネタばれがないよう、ストーリーの概略を書きます。

ボクシングの世界チャンピオンになったカワグチユウジ選手。アメリカの空港で、日本に帰国して凱旋パレードをして、記者会見を受けるイメージトレーニングをしている。ヒーローになったのだから、堂々としていればいいのだが、もしゴシップネタが好きな雑誌記者が自分の恥ずかしい過去を訊いてきたらどうしよう。未成年で喫煙していた、女子のスカートめくりをしていた、女湯ののぞき見をしていた・・・等々。ちっぽけなトラウマが、わさび師匠らしくて可笑しい。

そうだ!二重人格になればいい!ヒーローはカワグチユウジだが、過去のゴシップは別人格がそうしたと片付ければいい。一人称を「俺様」にしてごまかそう。それなら好感度は下がらない!そして、案の定、ゴシップネタをぶつける「現代実話」の記者。うまくかわした。

と、そこへアパートの大家さんが「うるさい!と苦情の嵐だ」と注意にくる。カワグチユウジは「イチロー選手も思い込みの力で成功した」と言い張るのだが・・・。ワイシャツのクリーニングと絡めたサゲも綺麗に決まった見事な高座でした。