SWAクリエイティブツアー

SWAクリエイティブツアーに行きました。今回のテーマは「目玉焼き」。2020年に開催が中止になったときに創作した作品を今回ブラッシュアップして高座に掛けたとのこと。四者四様の「目玉焼き」が楽しめて、とても良かった。

春風亭昇太「祭りのあと」

ご飯は何が食べたい?と妻に訊かれたら、「何でもいい」とは言ってはいけないのはよくわかる。たとえ夫婦の間でもコミュニケーションはとても大事だ。この噺では「言葉の目玉焼き」という表現をしていたが、“ちょっとしたこと”に感謝の気持ちをこめて、「ありがとう」と言うことを心掛けたいものだ。

定年退職をしたフジタさんが、町内会の祭りの模擬店で焼きそばを売っているヤスダさんから教わった大切なこと。僕もそのことを忘れずにこれからの人生を妻と一緒に仲良く暮らしていきたいと思った。

柳家喬太郎「サニーサイド」

部長の奥さんとの馴れ初めは、作ってくれた目玉焼きが美味しかったこと。小学校の家庭科の授業で女の子が作ってくれた目玉焼きがそれまで一番美味しかったと思っていたが、それに並ぶ目玉焼きだったので、「この女性と結婚しよう」と思ったという。その名前も思い出せない女の子とは…。

小学校時代の思い出として出てきた、“カーケシ”。スーパーカーブームが懐かしい。そして、「元祖天才バカボン」や「魔女っ子メグちゃん」といった懐かしのアニメも登場。師匠が♬子どもだなんて思ったら大間違いよ、女の子~と熱唱し、昭和テイスト満載の高座が嬉しかった。

林家彦いち「あの日へ帰りたい」

昨今の言葉狩りは嘆かわしい。孫娘に対し、“おねえちゃん”と言ってはいけないらしい。その子が男か女かは自分で決めることだから。婦人会という名称も消えて、地域交流会などと言うらしい。そして、目玉焼き。残酷な表現だから、「プレーン」と呼ぶらしい。

夏休みに田舎に行った小学生のユミコがお祖父ちゃんと居酒屋のおじちゃんが汚い言葉で一見罵り合っているかのように見えて、実は言いたいことを言い合って、心が通じている姿に感動するのが良い。そして、夏休み後にユミコは、「傷つくからと禁止されている」好きな男の子への告白を敢行する…。素敵だ。

三遊亭白鳥「神岩の呪い」

料亭の八百膳の板前、清蔵は“究極の目玉焼き”を女将のために作ろうと、琺瑯(ホーロー)採掘のために神岩を目指すが…。そこには妖怪ティーファルが立ちはだかっていた。何とか困難を乗り越えて、ホーローを手にした清蔵は、究極のフライパンで究極の目玉焼きを焼く。親方に褒められ、板長に任命された清蔵は女将にプロポーズをするが…。荒唐無稽を得意とする師匠らしいSFチックな作品に仕上がった。