立川吉笑 真打トライアル vol.1

立川吉笑 真打トライアルvol.1に行きました。今月から11月まで5回にわたって開催される真打トライアル、第1回のゲストは立川志の輔師匠だ。

「道灌」「ぷるぷる」立川吉笑/「ハナコ」立川志の輔/中入り/「金明竹」立川談笑/「カレンダー」立川吉笑

吉笑さんが落語と出会ったのは、2008年に渋谷のHMVで偶々志の輔師匠のCDを買ったのがきっかけだったという。「古臭いと勝手に思い込んでいた落語がこんなに面白いのかと驚き、好きになり、気がつけば立川流の虜になっていた」そうだ。ちなみに、吉笑さんが談笑師匠に入門したのは2010年秋だ。

吉笑さんの著書「現在落語論」の第二章は「志の輔師匠の新作落語、談笑師匠の改作落語、吉笑さんの擬古典落語」に充てていて、吉笑さんの中では師匠・談笑と同じくらい大事な存在。だからこそ、この真打トライアルにはどうしても出演いただきたかったそうだ。

プログラムにこんな思い出が書かれている。

前座のとき、池袋の「新文芸坐落語会」で初めて志の輔師匠が出演される会で働きました。高座返しのとき、先ほどまで着られていた羽織を持とうとしたら手が震えて仕方がありませんでした。羽織を畳むとき、ありがたすぎて匂いを嗅ぎたくなりましたが、怒られるので我慢しました。

きょう演じた「カレンダー」は人口200人ほどの小さな島のパニックを描いたものだが、そこに登場する人物の名前に魚勝、井筒屋、八百善などが出てくる。これは志の輔らくごファンにはお馴染みの商店街などに出てくる人物名で、吉笑さんはそれをオマージュしていると思われる。

吉笑さんが「志の輔師匠がゲストのときの真打トライアルで是非やりたいネタがある」と確かツイッターで呟いていたと記憶しているが、多分このことだろう。師匠・談笑と同じくらいリスペクトしている志の輔師匠に出演してもらい、吉笑さんも感慨一入だろう。

最後に、吉笑さんがプログラムの挨拶に書いた言葉で締め括る。

恐れ多いし、口にするのが恥ずかしくもあるけれど、志の輔師匠が、談春師匠が、志らく師匠が、そして談笑が受け継いできた談志師匠の、落語立川流の、その伝統と革新の遺伝子を僕も受け継いでいるつもりだ。それを示すのが、この真打トライアルでの目標だ。

吉笑さんは自分が思い描いている“カッコイイ真打”にきっとなると確信した夜だった。