二ツ目勉強会 やっちゃう?!
らくごカフェで第16回二ツ目勉強会 やっちゃう?!を開きました。今回のテーマは「蔵出し」。各演者が過去2年間掛けていないネタをやろう!、なぜ頻繁に掛けていないのかを含めて、お客様に聴いてもらおうという趣向だった。
今回はメンバーの1人、三遊亭ぐんまさんが都合により休演したため、3人が演じ終わった後に、アフタートークをやろうということになり、蔵出ししたネタへの思いと同時に、過去2年間多く掛けているネタベスト3を発表しようということになり、それもまた面白かった。
林家彦三さんのベスト3は①ぞろぞろ②大店の犬③猫の皿。①と②は一門のネタということもあり、愛情が深く、頻繁に掛けているそう。③はむかし家今松師匠のこの噺が大好きで、教わり、吸収して、そのままに演じているというリスペクト噺だという。
昔昔亭昇さんのベスト3は①猫の皿②新聞記事③やかんなめ。①は三遊亭可風師匠から教わったそう。彦三さんの③とかぶったのが興味深い。①と②は寄席でも一般の落語会でも、どこでもできる万能なネタとのこと。また、③は自分らしさを出すことができる好きなネタだそうだ。
三遊亭花金さんのベスト3は①寄合酒②両泥③試し酒。①は立川談幸師匠、②は雷門小助六師匠、③は橘ノ圓満師匠から習ったそう。どれも落語が初めてのお客様に抵抗なく受け入れやすいネタだからと。①と②は寄席で頻繁に掛けている。③はフルサイズだと27~8分あるが、15分、20分、25分それぞれの持ち時間にあわせてできるように編集しているという。なるほど。
で、きょう「蔵出し」ということで掛けたネタ。
林家彦三「伽羅の下駄」
豆腐屋の六兵衛さんが早起きして仕事しているときに偶然出会った仙台の殿様に貰った下駄一足。大家さんに見てもらうと、伽羅という銘木で出来た素晴らしいもので、片方だけで百両の値がつくという…。
これも大師匠にあたる彦六師匠がよくヒザ前に掛けていたネタ、いわば一門のネタ。豆腐屋の朝仕事の情景描写が難しいのと、何より擬態語を使ったサゲ、これがこの噺の身上だと思うが、これが恥ずかしくて出来なかったそう。だが、寄席の高座でも重宝しそうなので、これから頻繁に掛けたいと言っていた。
三遊亭花金「夏泥」
金がないから、いっそ殺してくれ!と叫ぶ家の主に対し、心優しい泥棒がついつい金を恵んでしまう。「すまねえな」と一旦受け取ろうとするが、「やっぱり返すわ」とさらなる借金を引き合いに出すやりとりが可笑しい。俺の方が死にたくなっちゃったよ、という泥棒の台詞がふるっている。
この噺、寄席で沢山の噺家さんが掛けているが、花金さんは「暗くなっちゃう」と避けて、この2年ほどは掛けていなかったという。亡くなった金遊師匠から前座の時代に習ったそうで、「師匠の方がもっと暗かった」。途中、人情噺みたいになっちゃう、と言っていたが、十分可笑しみも伝わってきたので、どんどん掛けてほしいと思った。
昔昔亭昇「どこでもドア」
藤原クンが「できちゃった」と友人に見せたのは、どこでもドア。こんなすごいもの、他人が知ったらお金儲けに使いたいと命を狙われる可能性もある。どうやって使おうか?と二人で悩んでいるうちに喧嘩となる。ドアの向こうから何者かが現われ、二人の喧嘩の仲裁に入る…。え!?一体、誰?
前座時代に作った新作だそう。だが、主題が著作物が絡むので、やりにくいとか。それと3回聴けば、飽きる。その点、古典落語はよく出来ているなあと思うと。だから、2年に1回くらい掛ければいいかなと思っているそうだ。いやいや、面白いから、沢山の人に聴いてほしいと思うけどなあ。