【アナザーストーリーズ】立花隆vs.田中角栄(9)
NHK―BSプレミアムの録画で「アナザーストーリーズ 立花隆vs.田中角栄」を観ました。
きのうのつづき
当時、立花隆がインタビューに答えている。
一種の見せかけだけの決着をつけるための儀式であったと言っていい。その背後に田中氏、小佐野氏という人間がいて、金脈問題、金権政治の問題とどういう連関があるのかを見落としてはいけないと思うんです。
「田中角栄研究全記録」ではこう書いている。
金権政治という言葉で私が意味しようとしたのは政治で金を作り、その金で政治を動かす、悪の無限的増殖過程だった。金権政治そのものを撃たなければならなかったはずである。しかし、マスコミも世論も田中個人と金脈の尻尾の出た部分を撃つことに熱中した。田中金権いよいよ健在なのである。
その後、立花は11年間、田中金脈とロッキード事件を追い続けた。
2021年4月、立花隆は世を去った。享年八十。知りたい。その一心に貫かれた生涯だった。「田中角栄研究」にはじまり、宇宙、医療、サル、コンピューター、そして自らを侵したガンまで、飽くことなく探求し尽くした。その膨大な著作は私たちに教えてくれる。何よりも大切なのは真実を知ることなのだと。
なぜ立花は角栄をここまで追い続けられたのか。正義感とはちょっと違うようだ。公私ともに立花と長い付き合いの関口博夫は楽しみの一つと語った。
とことん突き詰めないと気が済まない性格なんですよ。基本的に知りたがりやなんですよ。立花さんは嫌なこと嫌いなことは一ミリだってやらない人ですから。嫌だったら、投げていたはずなんですよ。角栄だって、何だって。みんな、楽しんでいるんですよ、やっぱり。
若い頃、立花の好物は一升瓶のワイン。好きが高じて、ついにはブルゴーニュのシャトーのオーナーに。31歳の立花が半年だけ新宿ゴールデン街で経営していたバー、ガルガンチュア。
この店の規模でメニューが100あったというんだから、すごいよね。どこにその材料を置いたんだか。
立花が彫った板が今も残っている。
FAY CE QUE VOUDRAS
自分のやりたいことだけをやれ
立花の生き方そのままじゃないか。
素晴らしい。立花隆さんの人生に敬意を表したい。ありがとうございました。