【本山葵 柳家わさび独演会】ゲストに桂米助師匠をお迎えして、興味深い話題で盛り上がった
国立演芸場で「本山葵 柳家わさび独演会」を開催しました。(2022・07・12)
今回から国立演芸場での開催となり、ゲストをお迎えすることにした。第一回目のゲストは桂米助師匠である。YouTube「突撃!ヨネスケちゃんねる」でも精力的に活動され、将来の落語界を担う若手を積極的に紹介している。わさび師匠も出演したことがある。
「BS笑点」の若手大喜利などメディアでも活躍しているわさび師匠の実力を、米助師匠は協会の枠を超えて高く評価しているようで、この会の対談コーナーでどのような話が展開するのか、楽しみだった。
「十徳」春風亭貫いち/「紋三郎稲荷」柳家わさび/「落語禁止法」桂米助/中入り/対談 わさび×米助/「死神」柳家わさび
米助師匠が「柳家わさび」の存在を知ったのは、「100コマ スポーツ」という5分のミニ番組だったそうだ。マイナースポーツやパラスポーツなど様々な競技を5分という短い時間でそのルールや魅力を紹介する番組だが、そのプレゼンターをしているのがわさび師匠だ。このミニ番組が好きだった米助師匠は、最後に「出演:柳家わさび」と表示されているのを見て、「え!落語家だったんだ」と驚き、一気に「ファンになった」と言う。
以来ユニークで、ユーモアたっぷりに紹介している「柳家わさび」に注目するようになり、「笑点」を林家三平師匠が降板して、その後継者を誰が勤めるのかに世間が注目していたとき、米助師匠は有力候補としてわさび師匠を挙げた。その機転とセンスを買ったのだそうだ。
その後、対談ではお互いに落語家になった動機について話した。わさび師匠は大学入門までは落語にはほとんど触れることがなかったが、日大芸術学部の落研に入ったことがきっかけで入門をした。一方、米助師匠は小学校の卒業文集に「将来は落語家になる」と書いていたそうだ。当時は、落語家が出演するラジオ、テレビ番組が全盛で、落語家は子供たちの人気者だった。だから、憧れた。
さらに言うと、米助師匠のもう一つ上の世代になると、浪曲師が人気だったという。全国の長者番付に浪曲師の名前が載るほど全盛を極めた。その後、その人気が落語家に移り、談志、志ん朝、円楽、円鏡が若手として活躍していた。
だから、「談志の弟子になりたい」と思っていたそうだ。だが、紹介してくれる人が「これからは新作落語の時代だ」と言って、米丸師匠を紹介してくれて、入門した。本当は一番弟子なんだけど、途中で古今亭今輔師匠の弟子だった歌丸さんが移籍してきて、兄弟子になったのだとか。
内弟子だった。これにわさび師匠が反応した。わさび師匠も柳家さん生師匠の内弟子として前座時代を過ごして、色々と勉強したと。門限や食事のことなど、内弟子を経験した者同士ではないとわからない苦労で盛り上がった。
米助師匠はYouTubeで若手を中心に紹介していることについて、「もう一度、自分が子供の頃に憧れたように、落語家が憧れの職業になるようにしたい」と語った。
ところで、わさび師匠はこの日、トリで「死神」を演じたが、これは三遊亭萬窓師匠から教わった型だそうだ。いわば、圓生系。米助師匠は前座時代に今輔師匠の「死神」を聴いて、震えあがったという。わさび師匠の「死神」の高座を聴いて、「今輔師匠とは色々と違う。ここが落語の面白いところだ」と感心していた。そのあたりのことは、YouTube「突撃!ヨネスケちゃんねる」のカメラが楽屋や袖で密着していて、わさび師匠に米助師匠がインタビューもして、すでに編集されてアップされている。是非、ご覧いただきたい。