【二ツ目勉強会 やっちゃう?!】4人の異なる個性がぶつかり、この会がますます楽しみになる。
らくごカフェで「二ツ目勉強会 やっちゃう?!」を開催しました。(2022・06・03)
花金、彦三、ぐんま、昇。この個性の異なる4人の勉強会をスタートしたのは、2020年10月。およそ1年半になる。隔月開催、途中緊急事態宣言で1回だけ休止したが、今回で10回を数える。
落語協会2、落語芸術協会2で、「初めまして」の顔合わせもあったが、次第に打ち解け、(まあ、最初から仲良くやれていたのだが)お互いに自分の役割みたいなものも判ってきて、会は一層楽しいものになっている。
メンバー皆が他にも勉強会をやっているし、チームを組んで活動している人もいるし、独自に独演会形式の勉強会をスタートさせた人もいる。だけど、この「やっちゃう?!」は何か特別な存在として刺激になっているような気もしている。買い被りかもしれないが。
毎回来て頂いている常連のお客様も増えた。嬉しいことである。そして、何より僕自身が、2か月に1回、この勉強会に来るのが楽しみで仕方がないのである。
三遊亭ぐんま「お菊の皿」
前半、ぐんまさんにしては「意外と本寸法」と思っていたら、「そんなわけないでしょ!」と言わんばかりに、人気が出て増長したお菊さんが最高に可笑しかった。井戸から出てきて、皿の数を数える芝居の実にクサいこと!と言ったらない。得意の(?)座布団芸まで飛び出して、ふてぶてしいお菊で場内を爆笑の渦に巻き込んだ。三遊亭ぐんま、ここにありである。
林家彦三「雑排」
二枚目キャラは相変わらず、本寸法で攻めた。「雑排」という寄席ネタレベルを一つ超えた高座に仕立てた。俳句の後に、「りん回し」にいくのだが、あくまで「りん」にこだわる本寸法。「ん」廻しではない!そこがすごい。そして、最後は狂歌も飛び出し、これならトリも取れる「雑排」だと思った。
三遊亭花金「羽織の遊び」
まず毎度のことだが、子ども時代の思い出マクラが相変わらず面白い。詳しくは書かないが、自分の子ども時代を冷静な目で分析して笑いに昇華している技が凄いと思う。そして、「羽織の遊び」。渋いねえ。いぶし銀の上手さと言うにはまだ早いかもしれないが、将来そういう部類の味のある噺家になること請け合いだ。
昔昔亭昇「恩送り」
昇さんはディズニーとジャニーズが大好き。その影響があるかもしれないが、彼の創る新作落語には動物がよく出てくる。それで、ファンタジーだったり、メルヘンだったりする。かと言って「お伽噺」のような夢想ではなく、現代の社会で起こりそうな騒動みたいになっていて、人間の強さや弱さみたいなものが炙り出されている。不思議な世界に連れて行ってくれる昇さんの新作が好きだ。