【わたしの芝浜~林家つる子の挑戦~】女性目線の落語に挑む姿に感銘を受けた(1)

NHK総合の録画で「目撃!にっぽん わたしの芝浜~落語家・林家つる子の挑戦~」を観ました。

林家つる子は34歳。12年前に林家正蔵に入門した二ツ目だ。彼女が「芝浜」を女性目線で作り変えるという挑戦をした。

「古典落語の中の女性も、葛藤とか、今の私たちのような思いをしていると思うんです。スポットライトが当たっていない女性に発言権を与えることによって、今に寄り添った生まれ変わり方ができるんじゃないかと」。

現代の女性も共感できる新しい落語とは何か。それに格闘する、つる子の姿に感銘を受けた。

まずは、つる子が師匠・正蔵に今回の挑戦を打ち明ける。

「芝浜」を本来の形でやらせて頂いているんですが、私ならではの試みがしたいと思いまして、「おかみさん目線の芝浜」を作りたいと思っておりまして。是非、挑戦させて頂けたらと思うんですが、よろしいでしょうか。

正蔵師匠は「とても良い試みだ」と認めた。

「芝浜」をやるときに男性から聴いていていつも思うのは「この師匠はこういうおかみさんを持ちたいんだよね」「きっとこういう女の人が好きなんだろうな」ということ。私も自然と演っていて、「こんな奥さんがいたらいいな」というような理想像が出る。

つる子が言う。

女性の立場から、おかみさんの描かれていない部分とかを、重くならずに、コミカルに描けたらいなと思っているんですが。

正蔵師匠が頷く。

あまり重たくしないほうがいいよね。どんなおかみさん像にするかだね。

つる子が女性目線にこだわるのは、落語界は噺家もファンのまだ男性中心だと感じていて、もっと多くの人に落語の魅力を伝え、客層を広げたいと思うからだ。古典落語に登場する女性は、男性を引き立てる脇役が多く、セリフが少ないと感じている。

明らかに男尊女卑だよねという噺はやっぱり多いなと思います。特に女性は古典が作られた時代と今では全く違うと思うので、スポットライトが当たっていない女性に声を足す、発言権を与えることによって、今に寄り添った生まれ変わり方ができるんじゃないかと思うのです。

現代の女性が心から楽しめる落語を創り出したい。そういう思いから、おかみさん目線の「芝浜」に挑むことにしたのだ。

つづく