【日活ロマンポルノ50周年記念 艶笑夜噺】映画「性談 牡丹燈籠」と艶笑噺「欣哉め」
配信で「日活ロマンポルノ50周年記念 艶笑夜噺」第一夜を観ました。(2021・11・27)
日活ロマンポルノ50周年だそうである。僕の年代だと、「日活」よりも「にっかつ」の方がなじみが深いけれども、ちょっと調べてみたら、日活ロマンポルノは1971年、昭和46年にスタートし、「にっかつロマンポルノ」と名前を変えたのは1978年だそうだ。そして、88年に終焉を迎える。
日本を代表する映画会社だった日活が、ロマンポルノに舵を切ったのは、皆さんお分かりのようにテレビという文化が浸透してきたからである。五社協定もなくなり、専属の俳優も消えていく。その中で、どう生き残るのか。予算を低く抑えることができるポルノ映画で、映画人の創作意欲をかきたてる場を作ろうとしたところがすごい。大映などは倒産してしまったのだから、日活の選んだ道は正しいといえよう。
1971年、日活ロマンポルノの第1作は「団地妻 昼下がりの情事」(主演・白川和子)と「色暦大奥秘話」(主演・小川節子)である。この2本の主演女優の名前からもわかるように、この日活ロマンポルノから一般映画に羽ばたいていった女優がいっぱいいる。それは、女優に限らず、男優にも言えて、風間杜夫や石橋蓮司、内藤剛志などがいる。
それと、最も大事なことは、ポルノ映画とピンク映画は一線を画していたということである。予算を抑えると言ってもロマンポルノはピンク映画より比較的潤沢に予算が使え、日活所有のスタジオ、専属の監督、脚本家、それに俳優や女優を使うことができた。志も高く、芸術性を求めていたことがうかがえる。
この日の配信で観た「性談牡丹燈籠」(曾根中生監督)も、三遊亭圓朝の「怪談牡丹燈籠」をしっかりと下敷きにして、そこにちょいちょい性行為を挟み込むという演出。それも挿入部分は行燈で見えないなどの工夫がなされ、チラリズムの美学を感じた。その上で、お露は看板女優の小川節子だから、芸術鑑賞をしていると言っても過言ではないかもしれない。
この日の配信では、映画上映の前に柳家喬太郎師匠の高座。昭和の名人、古今亭志ん生がよくお座敷に呼ばれて披露したような艶笑小咄を存分に聴かせてくれたのもよかった。三代目三遊亭金馬のCDで聴いた艶笑小咄もあった。コンプライアンス云々でテレビなどのメディアはおろか、寄席でも掛かることがないであろう艶笑小咄を巧みな話術で聴かせてくれる喬太郎師匠はさすがである。最後にちょっと長めの「欣哉め」を演って、見事な露払いであった。