【日活ロマンポルノ50周年記念 艶笑夜噺】映画「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」と艶笑噺「吉田御殿」

配信で「日活ロマンポルノ50周年記念 艶笑夜噺」第二夜を観ました。(2021・11・28)

この日の上映は「江戸艶笑夜話 蛸と赤貝」。1974年の公開である。

江戸時代、色箏しか知らない放蕩息子が、女盗賊などとまき起す騒動を描いた喜劇だ。脚本は「日本モーテルエロチカ 回転ベットの女」の西田一夫、監督は脚本も執筆している藤浦敦、撮影は「団地妻 火遊び」の高村倉太郎がそれぞれ担当。特筆すべきは、主演が当時の柳家かゑる、現在の鈴々舎馬風師匠で、70分の映画に出ずっぱりで、大活躍するのである。

というのも、監督の藤浦敦は近代落語中興の祖・三遊亭圓朝の末裔であり、落語界に顔が利いたのであろう。ほかにも、先代三遊亭円歌、五街道雲助、柳家小三治なども出演している。そしてまた、「干物箱」「お見立て」「品川心中」といった古典落語のエッセンスも盛り込んだ脚本になっているから面白い。

庶民文化が花開く江戸時代は文化文政の頃。伊勢屋の放蕩息子・巳之介(柳家かゑる)は、今夜も遊びに出かけようと甲州屋の前を通りかかった時、甲州屋の掘の上から出てきた黒装束姿を見つけた。巳之介はその黒装束の後を尾けるが、黒装束は火の番小屋に入るとするすると着物を脱ぎ出した。何とそれは女。巳之介はたまらず、その女に飛びかかるが、後から来た相棒の女に頭を殴られ気絶してしまう。

二人組は、お艶(小川節子)とお杉といい、関西から来た女盗賊だった。その手口は、お艶が狙った店の旦那の妾となって近づき、信用させておいて、夜中にお杉と二人で蔵の金を盗み出して、翌日逃げ出すというものだった。二人が今度目をつけたのは、たらふく屋で、早速、お艶はたらふく屋の大旦那角右衛門に取り入り、妾となって世話を受けることになった。

一方、お艶に一目惚れした巳之介は、遊びが過ぎてとうとう父に勘当されてしまった。しかたなく巳之介は腰巾着の半太郎(ケーシー高峰)のボロ長屋に居候をきめこんだ。

ある日、ひょんな事からお艶の居場所をつきとめた巳之介と半太郎は、彼女の家に乗り込むが、お艶の作り話にすっかり騙され、彼女を救うために家から千両箱を盗み出した。その時、お艶は角右衛門を眠らして仕事にかかろうとする時だったので大変。お艶は巳之介に、巳之介と添いたいばかりに角右衛門を殺してしまったと嘘をついた。それを真に受けた巳之介は一緒に死のうと、二人で大川端に行った。

死ぬ気のないお艶は巳之介を海に突き落すが、二人は細ひもでつながれていたために、お艶もろとも川の中へ落ちてしまった……。

映画上映前の柳家喬太郎師匠の高座は「吉田御殿」。知る人ぞ知るエロチックな古典落語である。この噺は演じる場所と客層を選ぶので、なかなか掛かることがないが、久しぶりに聴けて嬉しかった。