【ペテカンのコント 諸々そこんところ4】天国の本田誠人さんに捧ぐコントに大いに笑う

上野ストアハウスで「ペテカンのコント 諸々そこんところ4」を観ました。(2021・11・21)

本田誠人さんが亡くなってもうすぐ1年になる。ペテカン主宰の濱田龍司さんが冒頭に挨拶していたが、ペテカンの公演もコロナ前の2019年「ハンバーグができるまで」以来だ。本当は去年に公演する予定だった芝居「ピアニッシモ」もコロナで延期となり、本田さんが「まだ本を書くのはいいよな」と言っていたら、突然あの世に逝ってしまった。来年9月に本田さんが遺したメモを基に、原案:本田誠人、脚本・演出:ペテカンで、シアタートップスで公演することが決まったという。劇団員が総力を挙げて、本田さんの穴を埋めるべく格闘している。

今回のコント公演もそうだった。いつもだったら、コントを考える中心に本田さんがいたはずだ。それを他の劇団員たちが知恵を振り絞って考えた。本田さんが遺したコントを踏襲した作品もあった。

濱田龍司さんがパンフレットにこう書いている。(以下、抜粋)

ペテカンの作品作りの真ん中に常に本田がいました。作演出家だから当然と言えば当然なんですがね。彼の周りにはいつも笑いが溢れていました。しかも生易しいものではなく、全力で人を笑わせ、自分も笑い、話が前に進まず会議の時なんかは迷惑なくらいでした。(中略)

そして今、彼の不在からもうすぐ一年、それに加えて今の世の中、こんな時だからこそ笑いたいし、笑って欲しいです。彼に教わり彼と共に作ってきたペテカンのコント、真ん中に空いた穴を必死にみんなで埋め、あ、この表現は重いか…彼の遺志を継、あ、違う…届け!この想、イヤイヤ…

「た・の・し・く・な・か・よ・く・つ・く・り・ま・し・た」(園児風)

以上、抜粋。

手元のコントのセットリストを見ながら、ライブを思い出す。6の「チアガール居酒屋」は面白かったなあ。コロナ禍でソーシャルディスタンスを保った営業をおこなうチアガールたち。このご時世を皮肉った笑いは、逆に温かささえ感じた。

7の「結婚式によくある風景」は、以前のコント公演でも観たことがあるから、多分本田さんのテーストが存分に織り込まれているのだろう。OL三人組のうちの一人が結婚ということで、残りの2人が述べる本音まじりの祝辞が実に愉しくて。

そして、スペシャルゲストの柳家喬太郎師匠も新郎の上司ということで祝辞を述べるんだけど、上司が西巣鴨さんで、新郎が高島平さん、新婦が春日さん、と都営三田線つながりなのが妙に可笑しくて。「黒紋付ももっておるんですよ…」と何度も言いながら、派手な黄色の着物で祝辞を述べる西巣鴨さんに大いに笑った。

この公演のチラシのキャッチコピーがいい。

チャップリンは言った。「下を向いていたら、虹を見つけることは出来ないよ」。