三三・萬橘・貞鏡三人会 柳家三三「素人鰻」

三三・萬橘・貞鏡三人会に行きました。柳家三三師匠が「素人鰻」、三遊亭萬橘師匠が「千両みかん」、一龍斎貞鏡先生が「團十郎と武助馬」だった。開口一番は桂伸球さんで「牛ほめ」だった。

三三師匠の「素人鰻」。酒癖の悪い「神田川の金さん」こと、金蔵の酒を飲んだらしくじることを判っていながら、勧められると断れず、ちょっとのつもりが笊のごとく飲んで、旦那に絡んで喧嘩をして、店を飛び出してしまうところ。翌日には反省して戻ってくるのだが、また同じ失敗を繰り返してしまう。その人間臭さが肝の噺だと思う。

明治維新で武士だった中村の旦那は士族の商法で、「汁粉屋でもやろうか」と考えていたが、バッタリ出会った金蔵に「そんな利の薄い商売よりも、料理屋を始めたらいい」と勧め、何だったら私が料理人をやると乗り気。金蔵は江戸で三本の指に入る鰻裂きの職人。ただ、酒癖が悪いのが難点で、神田川もそれで首になった。中村の旦那が躊躇っていると、金蔵は「金毘羅様に誓って酒を断ちます」。その言葉を聞いて、中村の旦那は決断したのだが…。

開業日は繁盛して閉店することが出来、祝いの酒だと振舞ったのがいけない。気が大きくなり、「あっしがいなけりゃ、この店はもたない」と豪語し、徳利3本の約束なんて忘れてしまって飲み続け、「俺は神田川の金だ!」。悪態に旦那がキレて、金蔵も店を飛び出してしまう。

その夜は吉原に行って、勘定が払えず、馬を引いて旦那のところへ平身低頭で戻ってくる。昨晩のことは許され、働いて返す。だが、店を閉めたところで、旦那が「お疲れ様」と2本の酒を持ってきて、甘やかすから、また同じことを繰り返し、金蔵は出て行ってしまう。どうして、旦那も酒を金蔵に飲ませちゃいけないことくらい、学習しないのかなあ。

その翌日も同じで、戻ってきた金蔵の働きで店は繁盛。今度こそは酒を固辞した金蔵…と思ったら、台所で酒を飲んで暴れている金蔵を発見。出て行け!仏の顔も三度である。とうとう、金蔵は中村の旦那のところに顔を出せなくなってしまったという…。

仕方なく、旦那自らが鰻裂きに挑むが、そんなに簡単なものではない。笊に追い込もうとしたり、糠を撒いてぬるぬる滑るのを防ごうとしたり、悪戦苦闘。いわゆる寄席でよく掛かる「鰻屋」部分となるわけだが、やはり金蔵の酒癖が判っていても治らないところを丁寧に描く「素人鰻」が好きである。