もちゃ~ん 春風亭百栄勉強会「マイクパフォーマンス」

「もちゃ~ん 春風亭百栄勉強会」に行きました。「コンビニ強盗」「佐野山」「手水廻し」「マイクパフォーマンス」の四席。

「コンビニ強盗」。存在が軽すぎる強盗が愉しい。「金を出せ!」とT字剃刀を持って店員を脅すも、「いくら欲しいんですか?」と訊かれ、「そっちの気持ちでいい」(笑)。「何に使うんですか?」と訊かれ、「食費を中心に…生活費」と答えてしまう心臓の弱さが笑える。

じゃあ、と“店長さんのまかない弁当”を「惣菜が充実していて、ご飯もボリュームありますよ」と出され、「温めますか?」。俺のことをなめているのか、バカにしているのか、と“強盗”は言うが、完全になめられている。「とりあえず、落ち着きましょう」と、桃の天然水を出され、素直に飲む“強盗”を思い浮かべるととても可笑しい。

最終的には、お弁当と桃の天然水の代金780円を支払って、「俺を貧乏だと思うなよ!」と言ってコンビニを去って行く“強盗”に哀れを感じてしまう面白さがこの噺にはある。

「マイクパフォーマンス」。久しぶりに聴いたが、落語協会二階で30人限定という環境で聴くと、百栄師匠の熱演ぶりがガンガン伝わって、腹がよじれるほど笑った。

トリで「子ほめ」を演じ終えたゴンタロウ師匠が、突然マイクを握って引退表明をするところから面白い。そこにサンキョウ師匠が背後から登場し、〆太鼓のバチでゴンタロウ師匠をボコボコにしながら、「子ほめなんかで笑わせて喜んでいるんじゃねえよ!子別れで客を泣かしてみろ!」と挑発する…すごい!

古希を過ぎた紫綬褒章受章者の二人が、子どもの喧嘩みたいに、「バーカ!バーカ!」を連呼しながら罵り合う情景描写。「お前の芸はクサいんだよ!長いんだよ!」「お前の爆笑落語は単なる顔芸なんだよ!」。す、すごい。

そして、3・31決戦の予告。イイノホールの俺の引退落語会で、「子別れ」の上と下で勝負しようじゃねえか!お前が「強飯の女郎買い」で、俺が「子は鎹」。正々堂々と決着をつけようじゃねえか!実はこの喧嘩はすべて茶番だったという…。プロレスのマイクパフォーマンスを皮肉った名作である。