鈴本初席 柳家三三「粗忽の釘」

上野鈴本演芸場の正月初席二日目第3部に行きました。吉例落語協会初顔見世特別公演だ。きょうは正午に家を出て、浅草寺で初詣、川松で鰻重を食べて、上野に移動して、みはしで小倉あんみつ白玉トッピングを食べ、鈴本へ。終演後は隣のすしざんまいで夕食。いつも初詣と初笑いはセット、大満足の一日だった。

奇術 アサダ二世/「ぼたもち小僧」柳家わさび/「夫婦でドライブ」春風亭百栄/ウクレレ漫談 ウクレレえいじ/「愛宕の春駒」宝井琴調/「幇間腹」柳亭燕路/漫才 ロケット団/「補聴器と志ん橋さん」柳家権太楼/百面相 柳家さん生/「茗荷宿」桃月庵白酒/粋曲 柳家小菊/「新版三十石」五街道雲助/中入り/寿獅子 太神楽社中/酒の小咄 入船亭扇遊/「初天神」春風亭一朝/ものまね 江戸家猫八/「茶代」柳家喬太郎/紙切り 林家正楽/「粗忽の釘」柳家三三

アサダ先生、今年はちゃんとやりますよ。風船割り、「私、失敗しませんので」。そりゃあ、失敗しないよね。わさび師匠、番頭さんの悪戯心が可愛い。ウクレレえいじ先生、マニアックでごめんね、微妙でごめんね~。西岡徳馬と岡本信人、最高に可笑しい。

ロケット団先生の四字熟語。完璧で非の打ち所がない…岸田政権!嫌味でイイネ!権太楼師匠、落語三百年の言い伝え。立つより返事。捨て耳をしていろ。前座は受けるな。勉強になります!さん生師匠、能登半島地震被災地の富山から新幹線にずっと立ってきて到着したとのこと。無事で何より。

白酒師匠、2年ぶり5人目の客。甲子園か!(笑)。小菊師匠、正月らしい都々逸。笹の小舟に松葉の船頭乗せたお客は梅の花~。雲助師匠、訛った浪花節が実に愉しい。スムズノズロチョオ!

寿獅子は去年からお客さんがご祝儀を渡して、頭を噛んでもらう縁起物を再開したが、きょうは11人のお客さんが噛んでもらっていた。コロナが明けつつある喜びを実感。一朝師匠、蜜団子の蜜を実にしつこく舐める。「綺麗になった」(笑)。

猫八先生、今年の干支は辰。「難しさのピークです」。12年前は「リュー!」と叫んで誤魔化したが、今年は中国が漢王朝だった頃の文献を調べ、龍の頭はラクダだということを発見。ラクダの鳴き真似を披露。「信じる気持ちが大切」。喬太郎師匠、ステテコが黒のヒートテック。おばQみたい!正楽師匠、鋏試しは羽根つき。お客さんの注文で、昇り龍。お見事!

三三師匠の「粗忽の釘」。粗忽の主人公を嬉しがって迎えているご近所さんたちが愉しそうだ。引越しの最中も役立たずで、鉄瓶を振り回していただけだが、すっかり子どもたちの人気者になって、皆が真似をして鉄瓶を振り回しているという…。その風景を思い浮かべるだけで可笑しい。鉄人28号ならぬ、鉄瓶28号って!

お向かいの家のおかみさんは、粗忽の主人公に「クギさん」とか「ロジさん」とか、仇名を付けて、挙句には似顔絵を描いて回覧板を回しているという…。針すなおか!というレトロな突っ込みも三三師匠らしい。

釘を打ち込んでしまった隣の家に行くと、主人公は煙草を吸って“落ち着く”が、なぜか自分たち夫婦の馴れ初めを語り出しちゃうのが面白い。「あっしはしがないキンピラゴボウ」にはじまり、神社の縁日で杉ドン!で、「俺と一緒に苦労してみないか」の一言で男女の仲になったという…。

その後、亭主と女房の立場は逆転したが、「これも一つの夫婦の形かな」と微笑んで、「今はね…幸せです!」と万感の思いをこめて叫ぶ主人公を、呆気に取られているというより、寧ろ興味津々で聴き入っている隣家の夫婦も何だか楽しそうだ。終始、笑いの絶えない高座だった。

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