玉川太福「任侠流れの豚次伝」第5話&第6話

玉川太福月例木馬亭独演会に行きました。5月からスタートした、三遊亭白鳥作「任侠流れの豚次伝」連続読み、きょうは第5話と第6話である。それにしても、一番弟子のわ太さんが「梅花の誉れ」、二番弟子のき太さんが「不破数右衛門の芝居見物」。感慨深いものがある。

第5話「天王寺代官斬り」

豚次は政五郎爺さんの遺骨を携えて金毘羅に向かって西へ西へ旅する。大阪でカラスのカー助爺さんの紹介で天王寺動物園へ向かう。途中、公園で水を飲むと、チワワのお菊が「ここは私たちの縄張りだ。十万円を払え」と言いがかりをつけられる。子分の野犬たちが豚次を襲ったが、蹴散らかした。

天王寺動物園に着き、仁義を切る。コアラのマッチが応対し、親分の丹頂鶴のツルベに会う。「象の大政親分はわしの育ての親や」と言い、ツルベは大政の親分から「任侠とは何か」を教わり、そのお陰でチンピラから親分になることができたことに感謝していることを伝える。いわば、豚次とツルベは義兄弟と喜ぶ。

そこへ「豚を出せ!」とドーベルマンの権蔵がやって来る。大阪市の取り締まりを仕切っている野犬集団の長だ。お菊から公園の水の一件を聞き、乗り込んできたのだった。家探しするという権蔵に対し、ツルベは「この動物園は大阪府の管轄。府知事の許可を取ってこい」と追い返す。その間に、豚次に「天満天神繫昌亭の床下に隠れて待っていろ」と指示を出した。

豚次は言われた通りに床下に潜んでいたが、なかなかツルベ親分が迎えに来ない。すると、コアラのマッチがやって来て、「ツルベ親分が権蔵に殺された」と報告に来る。権蔵がツルベの首に嚙みついたらしい。亡骸と言って、くちばしを持ってきた。

豚次は激怒した。権蔵が根城にしている淀川警察の駐車場の裏に乗り込む。豚次は日本一強い野犬の権蔵と対峙した。そして、ツルベのくちばしで権蔵の腹を突いて、息の根を止めた。子分たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていった。豚次は叫ぶ。「ツルベ親分!家族に乾杯!」。

第6話「男旅牛太郎」

カラスのカー助爺さんが大阪から流山動物園に、豚次が大変な目に遭っていることを告げにやって来た。それを聞いた牛太郎は豚次を助けに行くと言う。牛太郎はタヌ吉の下で鍛え、鋼の身体になっていると自信を持ったのだ。大坂へ向かって、西へ。途中、ヒッチハイクして、まずは名古屋へ向かった。

名古屋はブルドックのブル松親分が仕切っている。手下にラブラドールのラブ平がいる。そこに大阪から廻状が廻ってきた。どうやら、ドーベルマンの権蔵が殺されたらしい。権蔵を殺した豚次を探せ!という内容だ。ブル松が世話をしている雌猫のマリー(元ベルサイユ動物園)と、その子分の虎男(元上野動物園白黒一家)が「大阪の次に大きい土地にいるのでは?この名古屋にいる可能性が高い」と言う。

牛太郎は名古屋に到着し、居酒屋に入った。注文したおでん、煮込み、とんかつは全て味噌の味付けで、それに文句を言っていると、野犬に絡まれる。牛太郎は鋼の身体でパンチを食らわせ、野犬を退散させる。だが、今度は野犬に取り囲まれたか弱い雌猫を見つける。それも野犬をやっつけ、猫を救ってあげた。

猫は「御礼に御馳走したい」と言う。すぐそばで彼女が営んでいる小料理屋に入る。酒を勧められるままにたらふく飲んだ牛太郎は完全に酔っ払った。そこへ、「しばらくだな!牛太郎!」と虎男が現われ、襲う。飲み過ぎて肉が柔らかくなった牛太郎は流血。だが、時間が経つと酒が抜けて、逆転勝ちを収める。

牛太郎の背中に雌猫が乗り、「好きになっちゃいそう」と甘い言葉を囁くが、実はそれは作戦で、爪で牛太郎の頸動脈を切った。実は雌猫はマリーで、子分の虎男と他何匹かの野犬と一緒に一芝居打ったのだった。

「間抜けな牛め。三途の川へ送ってやる」と、川の激流へ牛太郎は突き落とされた。そこへブル松と子分200匹が駆けつける。牛太郎が完全に死んだかどうか、確かめてほしいとマリーが言うと、子分たちは散った。残ったブル松に対し、虎男がこっそりと背後から近づき、鋭い爪で心臓を一突き。ブル松は死んだ。戻ってきた子分たちには、「ブル松は豚次に殺された」と嘘をつき、マリーは豚次を探すことを命じる。

果たして、牛太郎は死んでしまったのか。はたまた、豚次はどこにいるのか。第7話以降に興味を繋いだ。