三遊亭兼好・三遊亭萬橘おかしな二人会

三遊亭兼好・三遊亭萬橘おかしな二人会に行きました。この二人の組み合わせは今、あちこちで開催されているが、同じ五代目圓楽一門会の中で人気、実力ともに一、二を争う中堅同士ということだけでなく、この二人の仲が良いというのも一因だ。きょうのオープニングトークでもそれは現われていて、ボケる萬橘にツッコむ兼好というか、いじめる兼好に喜んだり怒ったりする萬橘というか、なんだかとっても絶妙なコンビネーションなんである。

萬橘師匠は「姫かたり」と「ろくろ首」。「ろくろ首」の松公(与太郎ではない)がとても愛嬌がある。「さようさよう」「ごもっともごもっとも」「なかなか」の三つの組み合わせを繰り返す松公が可愛い。それと、萬橘型では婿入りした先のお嬢様の首が伸びない。一晩中、寝ないで首が伸びるのを待っていた松公が、朝方に叔父さんの家に来て「首が伸びないから婚礼は断る」という。金に転んで婿入りしたのではなく、首が伸びるのが楽しみだったから婿になったというところが、この松公のチャーミングなところだ。

「姫かたり」は、古今亭志ん生のCDで聴いたことはあったが、生で聴くのは初めてだ。冒頭で浅草の歳の市の売り声、「市やまけた。市やまけた。注連(しめ)か飾りか橙(だいだい)か」を丁寧に説明して印象付け、サゲの「医者負けた。姫が騙りか」につなげるところのテクニックは流石だ。

高額な見料を取ってボロ儲けをしている医者の高橋玄庵に対し、姫、供の侍、腰元、駕籠屋に化けた男女たちが、「姫が癪になった」と一芝居を打つ。姫役が色仕掛けでモーションを掛け、供の侍役が現場を押さえて玄庵をやりこめる。まんまと400両を奪い取る作戦が成功し痛快なり。

兼好師匠は「浮世床」と「陸奥間違い」。「浮世床」はドイツに旅行したときに理髪店に入った体験談を楽しく語ってから、将棋と隠し芸を軽妙に演じる。

「陸奥間違い」は、権助が主人公と言ってもいいだろう、その権助の人物造型が実に巧みだ。田舎者で無筆だが、純粋で無垢で素直で憎めないキャラクターゆえ、松平陸奥守も松平伊豆守も身分の差を超えて優しくしてしまうのだろうなあと思う。

最後の祝いの席で、一番上座に座らせられた穴山小左衛門の戸惑いの表情と、その隣に座った権助の「もう二度目だから」と言ってご馳走にありつく純朴な様子の対照が実に愉しかった。