【吉笑三題噺六日間】④「チェアマン」

配信で「渋谷らくご 吉笑三題噺六日間」を観ました。(2022・03・11~16)

立川吉笑さんは去年12月に、シブラクで渋谷らくご大賞と創作落語大賞をダブル受賞されて、勢いに乗っている。そして、今年は真打昇進を見据えた動きが4月から始まる。ということで、3月のシブラク6日間興行で毎日、三題噺に挑戦する試みをすると知り、配信で全て観た。

14日。

「チェアマン」(日本武道館、卒業、マッサージチェア)

これが一番、苦戦したと吉笑さんは降り返った。演じながら、作っている感じが配信からも伝わってきた。

チェアマン募集の広告を見て、志願したら採用された元ボクサー。チェアマンは議長と勘違いし、いきなり偉くなれると思ったら、大違い。マッサージチェアの内部に入って、人力でマッサージする仕事だった。

これは、吉笑さんの名作「手動販売機」の発想に近い。江戸川乱歩の人間椅子か?省エネ時代には、何でも「手動」でという近未来落語かも。スーパー銭湯の指圧、按摩さんの心得がないといけない。

お客さんが200円入れると、3分間マッサージ。元ボクサーの経験を生かして、スパーリングの要領で、ジャブ、ストレート、アッパー!この男、元ミドル級のチャンピオンだった。

人間椅子の座り心地を良くするために、専門学校で勉強。空気椅子やバランスボールで特訓して、技を習得し、卒業。本格的に、マッサージチェアマンになる。

すると、お客がホームレス。200円を入れない。ただ座るだけ。だが、男はこのホームレスがボクサー時代にお世話になったボクシングジムの会長で。迷走しながら、最終的には人情噺風なアレンジで何とか乗り切った。