桂小すみ「光にとけて」生きていることは素晴らしいこと 何でもできること 少しぐらいつまずいたって そんなのへっちゃらだよ

西巣鴨スタジオフォーで「音曲師・桂小すみ なんじゃこりゃあ!」を開催しました。(2022・03・13)

桂小すみの音楽おもちゃ箱と称して開いたライブも、今回が3回目。なんだかんだで、忙しく飛び回る小すみさんゆえ、1年ぶりの開催となった。

今回はヴァイオリン演奏を得意とする笑福亭希光さんをゲストに迎え、とても魅力的な音楽世界をお届けすることができたように思う。

前半は「たっぷり!元禄 愛しの忠臣蔵」と題し、歴史大好きな小すみさんが高座で「赤穂事件の真相は実はこうだったのでは?」という諸説を織り交ぜながら、お喋りと替え歌で繰り広げる忠臣蔵尽くしの高座。

元禄花見踊り、御所の村庭、梅は咲いたか、越後獅子、名古屋甚句、春はうれしや…ぜーんぶ、赤穂事件の登場人物を絡ませた替え歌を作ってきた小すみさんの情熱に感服するばかり。

しかも、歴女だからお喋りもたっぷり!で、60分の高座。普段、寄席では10分、15分の高座が多いから、こういうチャンスがあると、彼女の才能がほとばしりますなあ。

中入りを挟んで、笑福亭希光さんの高座は、上方の落語作家・小佐田定雄先生の作品「ヴィオロンの嘆き」。古道具屋で5000円で買ったヴァイオリンが、実は中世の作で、モーツァルトやシューベルトとも縁があったという、ヴァイオリンがペラペラと昔を懐かしんでする思い出話が面白い。

元々は噺家の横に、ヴァイオリン演奏者がいて、音曲噺のように演じるように創られた作品だが、希光さんはヴァイオリンが弾けるから、自分で演奏もして、噺を展開する。

桂九雀師匠から、こういう噺があるから演ってみたら?と勧められ、小佐田先生の許可も得て、演じているそう。今回は希光さんのヴァイオリンに加えて、小すみさんのピアノも加わったから、とっても豪華な音曲噺になった。

そして、最後は♬小すみ・希光のスペシャル・セッション。まずは、クラシックのメドレーで、愛の挨拶、アベ・マリア、G線上のアリア、タイスの瞑想曲、カノンと続いた。そして、某テレビ番組のテーマ曲。ヴァイオリンの希光さん、カコイイ!さらに、小すみさんの三味線と希光さんのヴァイオリンによる奴さん姐さんがまた新鮮だった。

最後は、小すみさんの作詞作曲による「光にとけて」。これは、7年前に愛媛県西条市庄内小学校の学校寄席に、当時前座の希光さんと当時お囃子だった小すみさんが行ったときに、敷地内に「御霊の碑」というのがあったので、なんだろう?と帰りの飛行機で調べたら、感動してしまって、出来た曲だそう。

昭和30年5月11日、宇高連絡船で、修学旅行生を乗せた紫雲丸が第3宇高丸と激突し、168名が犠牲になった。そのうち、庄内小学校の生徒29名とPTA会長1名の計30名も亡くなった。

その悲しみを後世に残そうと、紫雲丸追悼録「いでたちしまま」という文集が作られ、今もホームページで見ることができる。それを機内で読んだ小すみさん、当時は松本優子さんが溢れる涙を拭きもせずに、作詞作曲に没頭して創り上げたのが「光にとけて」である。感動だ。

この「光にとけて」は、小すみさんのYouTubeで聴くことができるので、是非聴いてみていただきたい。https://www.youtube.com/watch?v=1WCI4tWAI8s

小すみさん、希光さん、本当にありがとうございました。