【渋谷らくご 12月公演】 師走もやっぱり、シブラクで過ごす(上)
配信で「渋谷らくご 12月公演」を観ました。(2020・12・11~15)
12月11日(金)18時
「お見立て」柳家勧之助「猫の災難」柳亭小痴楽
勧之助師匠、喜助の大根役者ぶり。それに負けない杢兵衛大尽のパワフルなこと。コケコッタラ、コケコー。ボーインにヌーイン。オッチンダ?狼みたいな大きな泣き声がすごい。喜瀬川も喜助を色仕掛けで操ろうとするが、それは無理な話。
小痴楽師匠、酒飲みの性。鯛を買いに行っている間に、なんだかんだ理屈をつけて何杯も飲んじゃって、五合を空にしちゃう。ねじり鉢巻きをして猫を追いかける稽古、文七元結の吾妻橋が稽古不足で文七が死んじゃったんだよ、と。
12月11日(金)20時
「寿限無くん」柳家花いち「臆病一番槍」田辺いちか「不動坊」春風亭一之輔「芝浜」桂三木助
花いちさん、完璧な理屈。寿限無の名前をきちんと解き明かしていく論理派の一面を見せてくれた。いちかさん、明朗快活。浜松の500石旗本、平松金次の出世譚。小牧山の合戦での大活躍。何がきっかけで、できる人間になるかわからないぞ、と。
一之輔師匠、本領発揮。吉兵衛さんの新婚妄想の膨らみを、外野から静観している親子が面白い。背中に「お」「た」「き」と彫った、おたきさん大好き三人組の騒動も。特にチンドン屋の万さんの「せっかくだから」最高。
三木助師匠、四代目没後20年。「人間は働かなくちゃいけねえな」と言うようになった魚勝を、こわごわ見守り続けた女房の思い。「夢になるといけねえ」で終わらずに、縁起の良いサゲを用意。
12月12日(土)14時
「心の中」春風亭昇々「厩火事」古今亭志ん五「弥次郎」立川談吉「二番煎じ」瀧川鯉昇
昇々さん、本音を言うことの大切さ。西本くんの複雑な心理の起伏を描く。「ゲロキモ」「キッショー」などの言葉含め、僕には難解。志ん五師匠、髪結の亭主にも一理あり。「夫婦のことは夫婦で収めようじゃねえか」。
談吉さん、2日後が誕生日。にしきのあきらとノストラダムスと同じとか。弥次郎の道中がマリオブラザーズみたい。鯉昇師匠、コロナに優しい芸人。猪鍋囲んで楽しい様子は、聴き手まで温まる。
12月12日(土)17時
「初天神」立川笑二「試し酒」柳家小八「甲府ぃ」立川志ら乃「品川心中」隅田川馬石
笑二さん、沖縄の仕事の話。手話通訳で「鼠穴」はきついですよね。赤は女の子みたいで嫌。青は男の子みたいで嫌。金坊はどっちなんだ!?小八師匠、本寸法。清蔵が上機嫌で酒の蘊蓄をのたまうところ、楽しい。鯨飲馬食とはこういうことかしら。
志ら乃師匠、いい噺。善吉の真面目で丁寧な人柄が伝わる。宗旨が法華で同じというだけで、他人同士がこんなにも心通じ合うものなんだね。馬石師匠、軽妙。貸本屋の金ちゃんの軽はずみだけど憎めない人柄が好き。お染をあまり性悪に描いていないのがいい。親分宅のバタバタまで、たっぷり。
12月12日(土)20時
「ねずみ騒動」「二階ぞめき」台所おさん
おさん師匠、地産地消?台所のねずみ撃退したあとの処分方法。妖怪人間ベムに似てる?「二階ぞめき」は師匠・花緑を思わせる。吉原を身請けしての、一人気違い芝居の愉しさ。「殺せー!」。