【寄席演芸家似顔絵展3】ちばけいすけ&佐々木知子夫妻、演芸愛溢れる似顔絵に思わず笑みがこぼれます。
深川東京モダン館で「寄席演芸家似顔絵展3」を観てきました。(2020・10・15)
ご夫婦で似顔絵師という、ちばけいすけさんと佐々木知子さんによる二人展に行ってきた。ふだんは東京近辺のショッピングモールなどでお客様の似顔絵を描いている。佐々木さんは演芸専門誌「東京かわら版」に「似顔絵コウザ」を連載していると言えば、おなじみの方も多いだろう。展覧会は東京の寄席に出演している落語家、講談師、色物などの似顔絵が展示されている。
ちばさんは1961年、東京生まれ。高校生のときから似顔絵を描くのが好きで、「明星」の似顔絵コーナーに投稿し、何度となく掲載された実力者。斉藤由貴やウィンクといった女性アイドルが好きだったそう。早稲田大学に入学すると、漫画研究会に入会。やくみつる、弘兼憲史、けらえいこ、安倍夜郎など錚々たる漫画家を輩出している歴史と伝統のあるサークルだ。ちばさんは学園祭のたびに一人100円で1日50人以上のお客様の似顔絵を描き、部費の貴重な財源になっていたという。
大学院卒業後はアニメが好きだったこともあり、CGプロダクションに就職。ソフトウエアの開発に没頭する毎日だった。そんなとき、好きだった古谷三敏さんの「寄席芸人伝」を思い出し、自宅近くの末広亭に通い始め、演芸にはまった。古今亭志ん朝が大好きで、トリ興行があるときは、10日間コンプリートしたこともあったくらいだという。その後、CGプロダクションを退職し、似顔絵師のプロダクションに所属。今のようにショッピングモールの似顔絵ショップや住宅展示場などのイベントに出向き、お客様の似顔絵を描くように。
佐々木知子さんと知り合ったのも、同じ似顔絵のプロダクションに所属していた関係で、同じ現場でしばしば顔を合わせるようになり、意気投合したのがきっかけ。佐々木さんは高校卒業後、美術専門学校の絵画科油絵部門に入学。4年間学んだ後、4年間そこで助手をしていたが、友人の誘いもあって、似顔絵のプロダクションに所属することに。思えば、学生時代に「同級生や先生の似顔絵を描いていたなあ」。
佐々木さんはちばさんと出会うまでは、全く演芸とは縁のない人生だったが、一緒に寄席に行くようになり、ハマったという。初デートは鈴本演芸場。トリは三遊亭歌武蔵師匠だったが、一番印象に残ったのが、あやつり人形のニューマリオネットだったという。その後、三遊亭白鳥師匠をはじめとする落語の面白さに浸るが、同時に同じくらいのウエイトで色物さんが好きだという。今は本業が忙しいので、月2~3日くらいの割合で寄席に夫婦で通っているとか。日時が決まっていて、何カ月も前から前売りを買わないといけないホール落語は仕事の関係でなかなか難しく、ぶらっと寄席に気軽に行くのが主流だそう。
さて、この「寄席演芸家似顔絵展」、今回が3回目。2014年4月から「東京かわら版」で連載がスタートした「似顔絵コウザ」の作品を佐々木さんが「原本のカラーで」公開する形で、2016年から2年ごとに開いている。2年で24作品あるわけだが、そのうちの15作品ほどを厳選し展示している。一方、夫のちばさんはといえば、その展示に向けて、似顔絵を描きおろしするそうで、だいたい半年くらい前から、「東京かわら版」の「寄席演芸家名鑑」をパラパラとめくりながら、過去2年間に寄席などでナマの演芸を観て、印象に残った芸人さんをピックアップして描くのだそうだ。やはり、妻の佐々木さんと同じ15点ほど。
兎に角、演芸好きだから、その芸人さんの特徴を捉えるのが実に上手い!そんなお二人の演芸愛溢れる似顔絵が並ぶ「寄席演芸家似顔絵展3」は23日(金)まで深川東京モダン館で開催中。10:00~18:00(土曜日は19時まで)。19日は休館日。最終日の23日は16時まで。